内容説明
ここでは明治20年代の言説がおびただしく引用される。たとえば医学、精神病理学、心理学、論理学、法学、あるいは新聞三面記事、結婚道徳、お辞儀談義etc.この時期「文学」は、舶来の「科学」のまなざしをはじめ、さまざまな異物をとりこむことで、根こそぎの変容をとげつつあった。本書は、この変容のさなかのテクストを読む。「文学」に侵入する多様なコンテクストの網の中でテクストが織りあげられていく現場を読む。
目次
アナザー・ナイト―一葉「十三夜」
うつろな物語―一葉「大つごもり」
わたしの病い―広津柳浪『残菊』
行為の解読―『浮雲』の場合
心臓
病いのありか―「舞姫」における「ブリヨートジン」と「パラノイア」
声のゆくえ
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- 和書
- あなたを探して