内容説明
『日本奥地紀行』で著名な女性旅行家のアジアをめぐる記録を集成。知られざるバードの実像と足跡が見事に浮かび上がる。第一巻は、百年前の風景を活写した二冊の写真集を収録。
目次
1 アジアへのまなざし―旅の成果としての写真集(中国写真集;極東の風景)
著者等紹介
金坂清則[カナサカキヨノリ]
1947年富山県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専攻は人文地理学
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感想・レビュー
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KAZOO
114
日本の奥地の旅行記を読んだのでイザベラ・バードが中国の各地を旅行したときの様子を知りたいと思い手に取りました。豊富な当時の写真が印象深く見れて中国の当時の農村などの様子が詳しく受け取れます。貴重な資料だと思われます。日本で言うと宮本常一先生と民衆の生活を見る観点などが似ているような気がします。2017/11/13
Miyoshi Hirotaka
12
メモ代わりに撮る今と違い、120年前は強烈な印象がないとシャッターを切らなかったはず。旅行作家のイザべラ・バードは中国人の死生観に強く印象づけられた。中国の慈善活動は葬儀と深く結びつき、無縁仏用の慈善墓地や嬰児墓地が整備されていた。生前から自分の葬儀は重大な関心事。遺族も埋葬の日を風水師が決めるまではいつまでも待った。一方、何日も一緒に仕事をしたにも関わらず、病気になった苦力が仲間にあっさり見捨てられる場面に出くわした。そこには一切の慈悲がなかった。死の重さと命の軽さの矛盾は、理解し難かったようだ。2013/11/03
in medio tutissimus ibis.
3
アヘンの蔓延への懸念に一番頁を割いてるってのが英国人っぽい感じで好きき。名前だけ知ってた人だけど、慈善家でもあったんですね。慈善団体とか同業者団体とかって所謂幇会のことでしょうかね? 中国は人間が結構簡単に移動してしまう土地柄のせいで都市部は慢性的に異文化モザイクになりやすく、そこで同郷同業の人間で排他的な社会をつくって互助はその枠内でだけで回していたそうです。同じ駕籠かき仲間でも、場合によっては助けてもらえないみたいですが。この時代、出身地方や階層が違うと言葉まで違うのが普通。異人さん扱いなんですよね。2016/08/08
カネコ
1
○2011/03/21
らんぷ
0
イザベラによる120年前の日中韓旅行記。〈1〉はほぼ写真のみ。〈2〉は写真+旅行記+α。写真は重複していたので〈2〉だけ読めば良かったかな。 ネットや電話がない時代、未知の世界の様子を知る唯一の手立て旅行記。文字通り、生々しい命がけの旅の様子が書かれている。とにかくイザベラの行動力には脱帽。中国での旅の妨害や戦時中の不安定な状況にもめげない! 観察眼と豊富な知識に裏付けされた内容は今読んでも色褪せない。植層、気候、政治経済、風俗、とてもニュートラルかつ具体的な内容で面白かった。2021/07/26