内容説明
ページをめくる幼い指のよろこびを共有したい―。「ピーターラビット」シリーズやマーガレット・ワイズ・ブラウン、モーリス・センダック、バルテュスらの絵本を紹介しつつ、豊かな絵本の世界の魅力を伝える、名エッセイ集の増補版。巻末に石井桃子へのロング・インタビューを収録。
目次
ページをめくる指(タンゲくんがいるだけでうれしいです;二匹のうさぎと夜;家から遠く離れて;ジェニーの肖像 ほか)
記憶と言葉―児童文学覚え書(ちりあくたの輝く「本の小部屋」から;「おさな心」からの解放;『ドリトル先生アフリカゆき』;縞の回転 ほか)
著者等紹介
金井美恵子[カナイミエコ]
1947年、群馬県高崎市生まれ。1967年、小説「愛の生活」でデビュー。小説、エッセイ、評論など、刺激的で旺盛な執筆活動を続ける。小説に『プラトン的恋愛』(泉鏡花文学賞受賞)、『タマや』(女流文学賞受賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くまさん
23
著者の文章の息の長さと批評的なセンスにやはり惹きつけられる。その力量はたとえば「本なしで生活するよりも、着るものなしでいるほうが、自然にさえ思われました。そして、また本を読まないでいることは、たべないでいるのとおなじくらい不自然に」というファージョンの引用や、「あらゆる本は二度以上読みかえす魅力があるかどうかで、いい本か、それほどでもないかが決まります」との卓見に表れる。石井桃子さんへの深い敬意が印象的で、フィービ&セルビ・ウォージントンの素朴ななつかしさと物悲しさを喚起させる「くまさん」も後を引いた。2018/10/31
fonfon
9
ALL MY BESTの1冊待望の文庫化!「母の友」で連載が始まったときの興奮が蘇る。「絵本を幼子とその庇護者から解放する試み」とご本人も書かれているが、これは本を読むことの時間論、ともいえるだろう。「こどもむけ」の本の数々からその対象年齢をとりはらい手狭な幼児教育の檻から脱出させる試み。子供がいる人もいない人も、楽しめることうけあい!「いしいももこ」さんとの対談というビッグなおまけつき。ピーターラビットの残酷、児童文学の普遍性、石井さんの小説~山のトムさん、おさなものがたり、幻の朱い実、等々について。。2012/04/21
Bartleby
7
金井美恵子×絵本。自分の好きな絵本ばかりが取り上げられていて趣味が合う。絵本選びの参考にさせてもらおう。かねてから「タンゲくん」は傑作だと思ってきたがこれにも言及されているのが嬉しかった。ともあれ本書では金井美恵子のいつもの毒舌は鳴りをひそめていてちょっと可笑しい。石井桃子との対談など、ちょっとハラハラしながら読んだが杞憂だった。2023/03/21
Goya
1
★★★ なに乙女みたいな事言っちゃって、、、と突っ込みたくなるような金井さんの可愛い一面を見て、ちょっと楽しい気分に。ドリトル先生はぜひ読み直そうと思います。2018/03/07
保山ひャン
1
雑誌「母の友」連載の絵本エッセイに加えて、児童文学について書いた文章を集め、巻末には石井桃子へのロングインタビューを収録した本。高校卒業まで推理小説しか読んだことがない僕にとっては、児童文学は宝の山なのかもしれない。しかし、金井美恵子さん、本も映画も何度も繰返し味わう人なんだな、と感心した。2014/10/15