内容説明
一千年の時間を経て、今なお私たちの心を強くひきつける『源氏物語』。古代的世界の解体期に生まれ、時代のさまざまな声が組織された、この絶無の作品を、真に現代的な視点から小説として読み抜いた、卓抜で自由な案内書。徹底して読むという行為を通して、『源氏物語』の豊かな意味が姿を現わす。
目次
第1章 一つの視点
第2章 “公”と“私”の世界
第3章 色好みの遍歴
第4章 空白と脱線と
第5章 夢と物の怪
第6章 主題的統一について
第7章 古代的世界の終焉
第8章 宇治十帖を読む
第9章 文体論的おぼえがき
第10章 紫式部のこと
著者等紹介
西郷信綱[サイゴウノブツナ]
1916年生まれ。東京大学文学部卒業。専攻、古典学
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
14
著者は読み手を巧みに「源氏物語」の原文の魅力へと導く。源氏物語のストーリー展開はもちろんのこと、その世界観、時代背景、思想をも含めて興味深く読み解いていく。それでいて決して押しつけがましくなく、自然に穏やかに読み手をいざなっていく。今までに源氏物語の入門本、解説本、評論等をいくつも読んだが、今まで読んだ源氏物語に関する本の中でこれは最も秀逸でありストレートに響いた。特に「第9章文体論的おぼえがき」は一読の価値がある。2013/04/21
らむだ
4
源氏物語という壮大な物語を、当時の受容のされかたや社会のありかたなどから読みとく。物語を貫く主題や、空白・脱線などの源氏物語のもつ魅力的な内容にも触れ、読者を源氏物語の世界へと誘う。2022/05/03
wang
2
源氏物語で語られている諸テーマ「公私」「色好み」「空白」「物の怪」「政治」などを解説。現代の視点ではなく当時の人々がどう考えどう読んだかという点で記述されている。2011/10/10
Tatsuo Mizouchi
1
☆☆☆ 源氏物語は一夫多妻制が生み出した文学なんだね2017/12/19