内容説明
十三世紀、全アジアを支配下におくフビライ・カーンの寵愛を受けて、マルコ・ポーロは二十歳そこそこから十七年間、使者として元朝諸方へ派遣され、各地を踏査する。未曾有の繁栄を誇るシルクロードを採った往路の様子から、現在のミャンマーあたりにまで至る雲南への使節行、さらには元朝の宮廷事情にまで及ぶ見聞記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
40
旅の困難や土地人との交流から風土や風俗が描かれる旅行記のようなものかと思っていたのですが、私的な事情は序文でざっと説明し、本文は土地の風俗や産物、通貨や物価などの説明となります。ペルシアの馬がインドへ高値で輸出されることや、サラマンダー(石綿)の鉱山のある地域では製造過程を説明したりしているのですが、そんな説明がなぜかとても楽しく、そのなかにプレスター・ジョンをはじめ各地の伝承が混じったりしてくるところも読み物としての魅力を増しているように感じます。象輿に乗るカーン、その宮廷や都の様子を楽しみつつ次巻へ。2017/01/10
アトレーユ
11
もっと学術的かと思ったが意外と紀行文で読みやすかった。小話小品集的な読みやすさ。が、だんだん飽きてきた(笑) なので続きは読まなくていいかなー…2024/01/27
Hiro
10
楽しい作品でした。著者というか主人公で、モンゴル帝国期のユーラシアを西からぐるっと一周したマルコ・ポーロは、世界初のグローバル化を実践した先駆者。後の時代、かのコロンブスはこの本を超書き込みして読んだそうです。それにしても、原題The Travels of Marco Poloを"東方見聞録"と訳した人、センス感じます(^∇^)2013/09/29
さぶろうの領土
7
GW頃から三冊の『東方見聞録』を読み比べている。今回は平凡社のⅠだけ読み終わったので東方見聞録の概要だけ。今我々が読める「東方見聞録」は、後世に作られた写本を日本語に翻訳したもの。最初の注意書きに「散文体が確立していなかった時代の叙述だから~(中略)~単調で幼稚な文章の連続に…」と書かれているが、もっと小難しく書かれていると思っていた自分としては、思いのほか読みやすくて逆に良かった。大半が実際の体験を元に記述されていると思われるが、誰かに聞いただけの話や、実際のその土地の歴史、胡散臭い伝承、など2023/05/27
newborn
7
東方見聞録を初めて読みましたが、世界各地を旅しただけに流石に博識なのですが、科学的な考え方からすれば荒唐無稽な話が多く マルコは宗教と迷信に判断を左右されるごく中世的な人間であったと思います。または、中世的な社会に読んでもらう前提で荒唐無稽な話を意図的に排除せず書いていると思います。しかし政治の記述に関しては高い見識を披露する本は古代でも多々あるわけで、東方見聞録に関してはそれは感じられません。マルコが特別聡明な人間であったという訳ではなく本書が史料的な価値ゆえに貴重とされるのではと思いました。2018/09/22
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