内容説明
三くだり半とは離縁状の代名詞であり、それを差し出された妻は哀れそのものというイメージが定着している。果たして、そうだったのか。全国に散在する江戸期の離縁状の分析から浮かび上がった離婚の実態とは…。いま、夫婦とは何か、家とは何かを考える好著。
目次
離婚いまむかし
離縁状と幕府法
「我等勝手ニ付」の離縁状
離縁状と離婚実態
離縁状と子ども・財産・家
離縁状の形態
離婚理由
離縁状の地域性
三行半のこと
なぜ三行半なのか〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おMP夫人
13
江戸~明治期に残された900通にも及ぶ離縁状を丁寧に考察し、当時の離婚事情の実情に迫る1冊です。扱われている事例がほぼ全て庶民のものなので一見地味に思えてしまうのですが、男性による一方的なものというイメージを覆し、実際は離縁状には相手方への配慮があり、また、決して男性上位ではなかったことを明らかにする本書は、思いのほか興味深く読むことができました。「三行半」の書式のルーツをたどっていくと、中国の思想、とりわけ『水滸伝』に行き着く仮説には、どこで何が繋がるかわからない面白さを感じます。2012/07/09
Kato Hiroyuki
1
「夫専権離婚説」を否定するのが主旨。江戸の離婚率の高さは、それだけ女性が自由だったということにつながる。 それにしても、一年間で3回も結婚、離婚を繰り返す女性がいたとは。2013/07/10
いちはじめ
0
江戸時代の離縁状、いわゆる三くだり半を多数収集して分析。実に示唆に富む労作2000/02/14