出版社内容情報
建築史家であり、複合施設「ラ コリーナ近江八幡」や「多治見市モザイクタイルミュージアム」など斬新な施設を生み出す建築家として話題の著者が語る半生と、独自の建築・文明観。
内容説明
建築を生む力は、神様や言葉のような実用を超えたところにある。村の信仰に守られた少年時代から今日まで。建築界の快人・藤森照信はいかにして成ったか。
目次
建築史家が建築をつくる暴挙
“ガタガタするのは何ものぞ”
死んだ世界を生きてるように過ごしたい
人類は二度、建築をゼロからつくった
のこす言葉
著者等紹介
藤森照信[フジモリテルノブ]
1946年、長野県生まれ。建築史家・建築家。東京大学名誉教授、東京都江戸東京博物館館長。専門は日本近現代建築史。著書に『建築探偵の冒険・東京篇』(サントリー学芸賞、ちくま文庫)、『明治の東京計画』(毎日出版文化賞、岩波現代文庫)など多数。1991年、45歳のときに神長官守矢史料館で建築家デビュー。熊本県立農業大学校学生寮で、2001年日本建築学会賞作品賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tamami
6
郷里の大先輩、藤森照信先生の自伝エッセイ。知ってる地名や、子どもの頃の遊びの風景など、懐かしさに溢れていて、ページをめくるのがもどかしいほどにさっと読み切ってしまう。先生の著作はあまり見かけないなと思っていたらどうして、百冊になんなんとする量作家でびっくり。そういう意味では、本書は奥深い藤森ワールドへの最適な入門書ではないかと思う。先生が初めて設計、建築をした「神長官守矢史料館」では、訪問を重ねる度に、信州諏訪という地にこれ程相応しい建物もないのではとの想いを深めている。・・・訪問するのは春以降がお薦め。2020/02/26
カエル子
5
著者が設計した小泊Fujiにて借り読み。最後の略歴まで面白い。4歳で「工夫してものをつくる楽しさに目覚め、6歳で上野動物園の園長に憧れた少年が、自分の人生をふり返る自伝的な著作。生まれ育った環境から学べることをすべて学び、問い続けた結果として成した建築の数々。無意識の器としての住宅と意識の器としての建築。これまであまり考えたことのないことを突きつけられて思いがけない良い読書となりました。ちなみに、宿自体は、環境も含めた箱としては素晴らしかったけど、家具や照明などの細部はイマイチだったというのが本音。2025/05/02
niki
1
この方の建築は存じていたが、お顔や経歴は存じ上げず。勉強になりました。 内田祥三という人が大正8年に決めた法律で、防火のために外に木を出してはいけないとした。そして都会から木が消えた。内田は晩年、街を歩きながら「間違ったかなぁ」と言ったらしい。この法律が違うものであれば、外壁に木がある美しい街並みが存在したのだろうか。2023/03/17
おさや
1
住宅は無意識でありたいからハウスメーカーが多い 言葉と作ることの和は一定 2021/07/29
みほた
1
藤森さんが建築や自然に対してどのように関わってきたのかを知れた一冊。藤森さんが言う記憶の器が印象深い。本人の建築を実際に生で見たとき、人間にある根本的な、信仰的な何か言葉にならないパワーを感じた。あの瞬間に感じた記憶を自分なりに解釈して建築と向き合いたいなと思う今日この頃。2020/12/26