内容説明
13‐15世紀のドイツ語圏では、修道院や大学の枠を越えてより実践的・民衆的な信仰覚醒運動が興隆するとともに、エックハルトを中心とする思弁の洗練も頂点に達して独自の神秘霊性を形成した。最新の研究成果を反映する決定版。
目次
ザンクト・トルートペルトの雅歌
書簡集
祈りの七つの階梯
主の祈り
説教二―五つのタラントンについて
シュヴァルツヴァルト説教集
主の祈り講解
命題集解題講義(コラティオ)
一二九四年の復活祭にパリで行われた説教
聖アウグスティヌスの祝日にパリで行われた説教〔ほか〕
感想・レビュー
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roughfractus02
8
中世ドイツは、早くから教会に属さないフランシスコ会とドミニコ会の活動があり、民衆的なキリスト教信仰が広がる中で、ビンゲンのヒルデガルト等の女性神秘家を輩出していた。トマス・アクィナスの師アルベルトゥス・マグヌスを師と仰ぎ、パリ大学でスコラ学を修めたドミニコ会士マイスター・エックハルトがこの地に戻ると、パリでの神学の厳密な哲学化にも反哲学化の動きにも与しない彼は、神と人間の「神秘的合一」「至福直観」に思考を巡らせ、ドイツ語で説教を始めた。本書は、エックハルトの著作を中心にドイツ語で書かれた30編を収録する。2019/06/01