出版社内容情報
幕末から明治期、日本の近代美術史上を独走した河鍋暁斎。強烈な画風・画業の源は、落書き帳のような、アイデア帳のような破天荒な「絵日記」だった。コミックエッセイの元祖はこれだ!
内容説明
幕末から明治期前半に活躍した狩野派絵師・河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい/1831~89)は終生、絵日記をつけつづけた。しかしながら、発見されているものはわずか4年分ほど。それでも1200余日分の記録から、“画鬼”とも“画狂”ともよばれた男の、描いて、描いて、描きまくった姿が生き生きと浮かび上がる。それはそれは、うますぎて、マメすぎて、面白い。
目次
その日を終わらせるための“癖”(横尾忠則)
「暁斎絵日記」。この、うまさ、まめさ、おもしろさ、呵々…(河鍋楠美)
暁斎の絵日記が貴重なわけ―とりもなおさず、創作の記録である。
暁斎の絵日記が面白いわけ―さながら、時代風俗資料である。
暁斎の絵日記が凄いわけ―えもいわれぬ、写生帳である。
キョーサイはないか?キョーサイはないか!―蒐集家・福富太郎、暁斎との馴れ初めを語る
土曜は麻布の、暁斎先生―旧コンデル邸付近を歩く(泉麻人)
暁斎のおどろくべきデッサン力―レガメとの肖像画競べ(南伸坊)
暁斎の一カ月―明治十八年
「暁斎絵日記」探索記―“埋蔵”絵日記を求めて奔走(河鍋楠美)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
25
澤田瞳子さんの暁斎の娘「とよ」の話からの流れで。とよさんの「星」だった暁斎の日常が垣間見られるかな~という期待から。絵日記、暁斎さんはたくさん書いたのに、あんまり似顔絵がそっくりで描かれた人々にほとんど持ち帰られてしまったそうな。確かにとにかく表情豊かで今にも動き出して声まで聞こえてきそう。そして細かい。一日の終わりに思い出して書いたとしたらすごい画像記憶だ。よく登場する親しい人はスタンプを作ったというのも面白い。とよさんはまん丸顔で兄さんは猪・弟は鳥。これは暁斎なりの愛情表現かもしれないと思った。2021/11/26
チャーリブ
24
河鍋暁斎は明治の初めから20年間ほど絵日記を残しているが、ほとんどが散逸して見つかっているのは4年分ぐらい。この本はその解説書で日記の一部を見ることができる。暁斎の日常生活に登場する人物や訪問先などが描かれている。人物はかなりカリカチュア化されていて、息子の暁雲などはイノシシ頭で描かれていて横に「ナマケ」などと書いてあったりする。絵で見る限り年中様々な人が出入りしている賑やかな河鍋一家という感じだ。暁斎の弟子となっていた建築家コンドルが描いた暁斎像が載っているが、たぶん今の私たちの見方に近いのだろう。○2021/11/19
アズル
18
絵日記の部分は1か月分のみで、あとは色々な人の「河鍋暁斎って、面白いですよ!すごいから!」という内容の文章。すごく面白かったわけではなかったかなぁ…。2015/09/26
Kikuyo
17
幕末から明治にかけて活躍した絵師河鍋暁斎の楽しい絵日記。楽しい上に創作の記録でもあるので貴重だ。 どの絵もコミカルでユル~く味がある。正統的な絵画も良いけどササッと思うままに筆を走らせた子供の落書きのような愛らしさ。高山寺の鳥獣戯画とか漫画のような。こんな風に絵で記録することは気晴らしでもあるし絵の学習にもなったのかもなどと思う。文字より絵をみればその日の出来事がわかる絵日記、ちょっと真似してみたいけど…。ジョサイア・コンドルの姿が興味深い。 2021/02/13
nizimasu
10
三菱一号館で見た河鍋暁斎の展覧会を見てほれぼれしまった。その多様な作風もさることながら弟子のコンドルの書いた河鍋暁斎の人となりに惹かれたのも事実。そして詳細な絵日記も書いていたのを知る。他の人も指摘していたがこてをみて即座に山口晃のすずしろ日記ではないかと時系列的には逆だけど思ってしまった。ちょっと図版が小さめなのでその書いてある内容をつかむことは難しいけど全体像がわかるだけでも楽しい。ものすごく多作な画家さんで人気もあったみたいでお金の出し入れも書いてあったり几帳面でもあるし考現学的な部分も微笑ましい2015/09/17
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