内容説明
習作「ある訪問」(’54)から遺作「日曜日が待ち遠しい!」(’83)まで、全25作品を百数十点の写真資料、関係者の証言、そして監督自身の率直な言葉を交えながら、トリュフォーの映画づくりの秘密と魅力を映画のようなタッチで、たっぷりと描き出す。
目次
1954 ある訪問
1957 あこがれ
1958 水の話
1959 大人は判ってくれない
1960 ピアニストを撃て
1961 突然炎のごとく
1962 二十歳の恋
1964 柔らかい肌
1966 華氏451
1967 黒衣の花嫁〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星空の挑戦者
8
トリフォー映画は女優、男優共にファッションセンスの良さが印象的だが、やはりイブ・サンローラン、ココ・シャネルなど仏蘭西トップブランドを衣裳として採用していたことが本著で確認できた。「野性の少年」で監督兼役者として初めて挑んだ博士役が大当たり。本人はヘレン・ケラーのサリバン先生的役柄はベテラン俳優より素人の方がリアルではとの判断だが、その10年後スピルバーグに引き抜かれ「未知との遭遇」では堂々とUFO学者を演じていたのは笑える。どうみても学者以上にインテリに見える。もうこんな監督って出て来ないのかしら。2010/10/16
コットン
3
トリュフォー本人と映画に関わった人達へのインタビュ形式でトリュフォー研究本として一級品の出来!2012/04/07
coolmonster
2
トリュフォーの各作品について、著者の評論と、トリュフォー及び関係者に対するインタヴューをまとめた本。読んでいるうちに、かつて見た各作品が頭の中で甦ってくる。トリュフォーと言う偉大な、そして映画愛に溢れた監督についても、理解が深まる好著。2014/05/14
caster1
2
本人のインタビュー読んでいくと、古典的な映画への愛にあふれた人なんだと思った。それと「わたしはいつも観客のために、不特定多数の観客のために、映画を作っています。」なんて発言もあるように、観客の視点を意識しているのだな、と思った。『アメリカの夜』と同じく映画監督を主人公にした『8 1/2』と比較して、むこうは「芸術的創造の世界」で、自分が見せたかったのは「映画作りの現場」というように言っていたのはなるほど、と納得。2010/07/05
タイコウチ
1
年末年始にかけて週に2本ずつまとめてトリュフォーの映画10本を劇場で観る機会があり、予習復習用の副読本として、購入時から10年以上の積読状態から解除されてようやく読了。作品ごとの山田宏一氏の評論/紹介文とトリュフォーへのインタヴューで構成されているが、あらためて日本に住む私たちにとって、またトリュフォーにとっても、山田宏一という稀有な理解者であり翻訳者が身近にいたことの幸運を思う。映画監督としては実質20年少しという短い作家人生にもかかわらず、これだけの作品を残してくれたことにもあらためて感慨無量である。2015/01/25