内容説明
風はあるが、空気はいくぶん暖かい。この後にやってくる、寒くきびしい季節を思い起こさせる、秋の終わりの暖かさだ。エリザベスは、足をなげ出した。神秘的な陸と海の風景が、丘のふもとに広がっている。地球全体を前にしているような気がして、心の中に、言葉にならない気持ちがあふれてきた。「幸せは、追い求めることができないんだよ。」そう、おばあちゃんは言っていた。幸せは、苦しい状況のまっただ中で、ふいに訪れることもあるし、自分は幸せだと思っていても、どういうわけか、消え去ってしまうこともあるのだ、と。小学4年生以上。