出版社内容情報
君はボクのクリーンヒットや――。夫婦脚本家・小説家である木皿家で、ある晩、夫が妻に呟いたコトバ。シリーズ第三弾は、夫婦の結びつきがより伝わってくるようなエピソードや、日常で見落としがちな大切なことを掬いとったエッセイが充実の一冊。互いにファンであることから実現した、芥川賞作家・藤野千夜さんとの初対談も収録!
内容説明
夫婦脚本家・小説家である木皿泉夫妻。「君はボクのクリーンヒットや」「どこにいても私らしくいられるのは、私の好きな彼のおかげである」…。思いをコトバにすることの大切さ、そこからもたらされる穏やかな幸せを綴る。何気ない日常を豊かに過ごすヒントがつまったエッセイ集。互いにファンであることから実現した、芥川賞作家・藤野千夜氏との対談も収録!
目次
1 好きという重しのおかげで―エッセイ(木皿食堂;お布団はタイムマシーン;マイシークレットライフ;彼から受け取った痛み;この世に損も得もない;右手に小さいつづら、左手に大きいつづら;正しいやり方;しあわせを書く;転がるように書く;おせち料理のようなドラマです)
2 脳のストッパーが外れるまで―対談(藤野千夜(作家)×木皿泉)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさおか つる
20
オレにとって、お布団はタイムマシーンやと言っている。/ダンナの言うとおり、やっぱりお布団が一番かもしれない。しんとした夜中にお布団の中に入っていると、ダンナと会ったばかりのことを思い出す。暗い部屋、月明かりが床や掛け布団の上に影を落としている。横になったダンナが、隣にいる私に「君はボクのクリーンヒットや」と言った。客席に落ちるホームランではなく、クリーンヒットという言葉は、現在進行形のように思えた。自分が白い球になって、青い空をどこまでも飛び続けるイメージで、それはまだ私の中にある。2021/03/13
ドナルド@灯れ松明の火
15
3作目はエッセイが多くて良かった。 奥様の年季子さんの価値観からの発言等がいちいちキレ味があって納得すること多し。この夫婦のバランスが絶妙なんだなと感心した。 お薦め2021/05/10
みっき
9
「これは、いじめですよ」と言われないと分からない話を読んで、昔「いじめとんがいよ!気付いてください!」と怒鳴られた事を思い出した。はっきり言われる前から気付いていたのだが、そんな事言われたところでどうすればよかったのか。ケンカしないでケンカしたい妻と「ボクのクリーンヒットや」と言えてしまう夫、素敵な夫婦だと思う。2022/03/27
May
9
★★★☆☆ 木皿泉さんの著書を初めて読みました。エッセイというものはその人の生き方や考え方、何に心が動くのか、何を大切にしているのか、そういった人物像がよく分かる媒介だ。最初はなんだか世の中に訴えたいことがたくさんある人なんだな、と思った。でも本当はそうじゃなくて、自分の生き方を良くするのも悪くするのも自分の感じ方次第。私の人生は私だけのものなんだから、人の目を気にする必要はないんだと、そういう事を伝えてくれている気がした。例えとして身近な話題から始まり、その後伝えたい核心に触れる文章構成。上手いな〜。2021/07/11
シチュー当番
2
夫婦のユニット、木皿泉さんのエッセイ。主に奥様が書かれている。 強い。強いなぁ。 作家先生だからというわけではなく、天性のものとして「誰がなんと言おうと私はこう思う」という筋を持ってらっしゃる。 こういう文章に触れると、なぜかこちらまで自信が湧く。2023/09/26