内容説明
災害ボランティア活動は、きれい事だけでは済まない。自治体にとって、ときには志願者が負担になることもある。そんな現実のなかで奇跡的な成功例と評された地域―。それが宮城県・石巻市だ。「石巻モデル」を支えた人たちの「決断」と「行動」を明らかにする!行政、NGO、NPO関係者必読の書。
目次
第1章 「水の都」が消えた日
第2章 石巻モデル誕生
第3章 大学が拠点になった
第4章 顔の見えるCSR元年
第5章 行政とボランティアの連携
第6章 災害ボランティアは企画力
第7章 石巻モデルの教訓
著者等紹介
中原一歩[ナカハライッポ]
1977年、佐賀県出身。ノンフィクションライター。高校時代に家出をして、ラーメン屋台で調理・接客修業をする。同時に、地方紙などで「食と地域文化」の原稿を執筆。上京後、世界各地を放浪。アマゾンから南極、アフガニスタンの戦場まで訪問国は80カ国に及ぶ。現在、「人物」「世代」「環境」「食」をテーマに「AERA」などの週刊誌で執筆活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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saga
13
このモデルが標準になってほしいと願う。「奇跡の」と冠したのは意図したことか? ピースボートというボランティアをまとめるスキルを持った民間団体が関わってくれたから、このようなモデルが誕生したということなのだろうか。地元の篤志家と地元に縁のないボランティアとの出会いも、行政がNPOを尊重する姿勢も奇跡と言えるかも。しかし、ピースボートが行政に信頼されるのは必然なのだと感じた。自治体・社協は災害発生時にボランティアを受け入れるスキルを持たねばならない。「自治体・社協の限界を災害救助の限界としてはならない」同感!2013/01/31
百太
11
石巻には被災当初から世界各地、日本全国からボランティアが駆け付けてくれて、泣けてくるほど感激でした。この“石巻モデル”にはとてもご立派で感動させられる事が書いてありました。 今更なのですが・・週刊文春とネット掲示板等を読み・・とっても悔しく怒りが湧きます。「何が奇跡の震災ボランティアだ!」。私がボランティアで費やした時間と労力、そして義援金 返しやがれ!石巻!(激)。2012/10/05
ブック
10
東北の震災におけるボランティアのことが書かれているが、何より驚かされるのは、この本が震災発生からわずか半年で出版されているということだ。それだけに、書かれている内容は生々しく、私にとっても311は間違いなく人生を変える出来事だったが、あの当時を思い起こさせる。書物にこのような機能があることを改めて知った。今、能登の震災でのボランティア論が盛んだ。しかし受援力ということを磨く必要もあるも私は常々思っている。人は主観でしか感じられない。その限界を受け入れるネガティブケイパビリティの大切さをここでも痛感した。2024/01/13
funkypunkyempty
4
★★★★ 大災害後のボランティア活動の難しさと、その難しさを乗り越えて作り上げた311後の「石巻モデル」。こちらの想像をはるかに越えた状況を冷静に書いている分、刺さる箇所が多かった。著者の他の作品も読んでみようと思う。2020/09/05
mimm
4
あーピースボートってそういう…。 自分自身、いつ大きな災害に見舞われるか分からない中、受援の心構えを含めボランティアの功罪の一面を教えてもらった気がします。 ボランティア、興味あったけど色々大変だ。しかも一匹狼気質には絶対無理なのね。相手先に迷惑かけちゃうし。「AREA」(朝日)目線なので、他の方の書籍で多角的に見ていきたいジャンルでもありました。2014/11/27