出版社内容情報
坪内藩の城下町にある青鳴道場。先代の死から一年、沈黙していた跡とりの長男・権平は、妹の千草と弟の勘六に厳かに告げる。「父の仇を捜すために道場破りをいたす」。亡父の死には不審な点があり、直前には五つの流派の道場主たちと酒席を共にしていた。権平は、三回に一回しか成功しない奥義“神妙活殺”を引っさげて、道場破りの旅にでる。
内容説明
坪内藩の城下町にある青鳴道場は存亡の危機にあった。先代の不名誉な死と、跡を継いだ長男の権平の昼行燈ぶりから、ついには門人が一人もいなくなってしまったのである。米櫃も底をついたある日、妹の千草や弟の勘六に尻を叩かれた権平がようやく重い腰を上げる。「父の仇を捜すために道場破りをいたす」。酔って神社の石段で足を滑らせ亡くなったとされる先代の死には不審な点があり、直前には五つの流派の道場主たちと酒席を共にしていた。三人は、道場再興と父の汚名を雪ぐため、藩内の道場の門をひとつずつ叩いていく。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞、12年『蜩ノ記』で第146回直木賞、16年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞を受賞する。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
110
あおなり道場始末 2019.06発行。字の大きさは…中。葉室麟さんの双葉社4作品(川あかり、螢草、峠しぐれ、あおなり道場始末)の中で、一番面白いのが「あおなり道場始末」だと私は思います。読んでいてよく笑い、本当に気持ちのいい、心が楽しく、また笑顔になる作品だと私は思います。物語の全編をとおして青鳴3兄妹弟の昼行燈のような性格の兄・権平、美貌で剣を持てば鬼姫と呼ばれる妹・千草、神童と言われ金勘定にたけた弟・勘六の、明朗なやり取りが気持ちいい。3兄妹弟が父の仇を探す中で、チャンバラが有り、お家騒動が有りと…。2020/01/19
つねじろう
70
従来品に比べ結構緩いです。かなり緩いと言ってもかまいません。そればかりか少し甘かったりもします。でも緩くても甘くても信じたものを疑わず真っ直ぐに進んで行く姿は間違いなく葉室麟。よって嫌いじゃありませんむしろ好きな方です。若くて明るい三兄妹が道場主だった父を殺めた犯人探しの為に道場破りをして行くお話です。秘剣やら藩のお家騒動も盛り込んでサービス満点。三兄妹のボケとツッコミも見事で楽しく読めます。で油断してると気持ち良く裏切られジンと来たりします。手っ取り早く晴れ晴れとする気持ちになりたい方にはお勧めです。 2019/08/23
ふじさん
64
葉室麟の作品に珍しく愉快で軽いタッチの作品。川あかり通ずる楽しさがある。父亡きあと道場を継いだ青鳴権平は昼行燈の様な性格で回りから青瓢箪とかうらなりと言われ、弟子が去り道場は存亡の危機を迎える。しかし、権平は実は父から神妙活殺流を受け継ぐ使い手であった。道場を維持するために道場破りをする中で、父が暗殺された事実を知り、父の仇討に命を懸ける闘いが始まる。途中、弟の世継ぎが絡んだ藩内抗争に巻き込まれるが仇討を果たすことで、三人兄妹は家族の絆を深め、新しい人生を歩みだす。チャンバラシーンも多く楽しく読めた。 2020/09/13
優希
55
かなりライトな印象です。父の仇討ちを行おうとする兄弟のキャラが読んでいて楽しくて。物語も明快なのでスッキリしました。絆の物語としても読めますし、エンタメ性が抜群です。2023/02/02
優希
48
面白かったです。仇討ものですが、明るくほっこりとした雰囲気で好みでした。絆の物語でもあると思います。2021/12/11
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- 和書
- 「住む」ための事典