内容説明
春風が江戸に桜の季節を告げる頃、坂崎家では豊後関前から父正睦、母照埜を小梅村に迎えて親子三代、賑やかな日々を送っていた。関前藩の物産事業に絡む内紛の始末がつかぬまま、富士見坂の江戸藩邸を訪れた磐音は、藩主福坂実高の正室お代の方の変わり果てた姿を目の当たりにして…。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、超人気書き下ろし長編時代小説第四十一弾。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』以後、スペインをテーマにした作品を発表。99年、初の時代小説『密命』を皮切りに次々と作品を刊行、時代小説の旗手として高い評価を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ガクガク
106
前巻に続く豊後関前藩の物産事業に絡む内紛解決編。ダークな江戸家老鑓兼に籠絡された藩主実高公の正室お代の方の変貌ぶりが無性に悲しい。人と言うのは近しい人に影響されて、変われば変わるものだ。一方密かに江戸入りした磐音の父、関前藩国家老の正睦は何か隠し玉を持っていると思っていたが、「そんな裏工作をしていたのか」と驚く。驚くと言えば、かつて幼かった幸吉とおそめの成長ぶりだ。とりわけ幸吉はすっかり立派な大人になって、その分かわいい所が少なくなった。行方不明になった武左衛門がどこかで事件に絡むと見たが当てが外れたな。2014/12/13
文庫フリーク@灯れ松明の火
93
藩主・福坂実高の小さ刀(守り刀)を腰に差し、父・坂崎正睦の警護役として豊後関前藩・江戸藩邸に乗り込む磐音。正睦の、藩主名代として放つ「上意!」の第一声から暴かれる田沼親子の傀儡・江戸家老、鑓兼参右衛門一味の悪事。幕府に露見すれば藩の取り潰し・藩主切腹は必定。断罪するは「昼行灯」と「居眠り猫」の親子鷹。幕府への後処理と後継ぎ問題、久々に佐伯節堪能しました。何より嬉しかったのは、おそめ・幸吉の邂逅。睦月への祝い着が縫箔職人・おそめの成長と真心なら、皆で食す昼食‐宮戸川の鰻におそめのため、一人分だけ幸吉の→2013/01/17
藤枝梅安
62
豊後関前藩の江戸家老は主君・福坂実高の正室・お代を唆し専横を続けていた。磐音の父である国家老・正睦が密かに江戸に上ったのは国許にある主君の命を受けてのことだった。江戸家老の専横には後ろ盾があり、それが次第に明らかになる。磐音は江戸で築いた人脈を頼って江戸家老の不正を暴くべく動き出す。お家騒動を描いて久しぶりに(失礼)作者の筆が冴えている。しかし、このエピソードはまだ続くのだそうな。江戸家老の「後ろ盾」の人物との対決があるのだろうか。その前に佐野政言が動くのか?2013/01/07
忠犬じろレポ
58
豊後関前藩の騒動が一段落。シリーズも終盤に向かい、今までの主要な登場人物の行く末も徐々に固まりつつある印象です。磐音の剣術は無敵の領域へ達しているし、人望も厚く人脈も絶大。天下の老中でも、磐音を潰すことはもうできないでしょう。その域まで来てますね。まあ失脚しますけどね。(^^; 勘ぐろうと思えば、いくらでも勘ぐる事はできますが。 42巻を間違って先に読んでしまったので、続きは42巻の感想レビューで(^^;2013/03/11
ドナルド@灯れ松明の火
51
春霞ノ乱の続きだが、あっというまに読了。関前藩の内紛はこの巻で解決。藩主の奥方がこんなにも簡単に籠絡されるかなぁ。爺婆と孫のほのぼのしたやり取りが良かった。次の「木槿ノ賦」では、どのように展開させていくのか期待する。あとがきで50巻で終了とあったが、まぁよくも書いてきたものだと感心した。読メで佐伯さんの読了冊数を数えたら130冊を超えていたww。これでも、まだ読んでないシリーズが小藤次と密命の2つあるのに・・。佐伯さんが元気で書き続けてくれることを祈っている。2013/02/07