出版社内容情報
ある事件がきっかけで、職を辞した元刑事の須賀原は、死者が見えるという少年・明生と、ふとした縁で知りあった。互いに人目を避けて生きてきた二人。孤独な魂は惹かれ合い、手を結んだ。須賀原と明生は、様々な事情でこの世に留まる死者たちの未練と謎を解き明かしていく。
内容説明
その少年に目が留まった理由は、ただひとつ。こぼれ落ちる涙を拭おうともせずに立ち尽くしていたからだ。それもホラー映画の並ぶ棚の前で。しかも毎日。―ある事件がきっかけで、職を辞した元刑事の須賀原は、死者が見えるという少年・明生と、ふとした縁で知りあう。互いに人を避けて生きてきた二人。孤独な魂は引かれ合い、手を組んだ。須賀原と明生は、様々な事情でこの世に留まる死者たちの未練と謎を解き明かしていく。
著者等紹介
日明恩[タチモリメグミ]
神奈川県生まれ。日本女子大学卒業。2002年『それでも、警官は微笑う』で第25回メフィスト賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
61
ほんの少しで良い。少しでも自分を、孤独で絶望している自分を見つけてくれる人が現れたなら…。生死に関係なくきっと救いになるに違いない。時の中で零れてしまった命の残滓に憂いをもって語り掛けるのは、訳アリ少年と訳アリ元刑事。他人が容易に立ち入れない傷を持つ2人が出会った事で、今まで自分自身でさえ持て余していた禁忌に触れる事になった。死者の未練、生者の悔恨。温かな雨に打たれるような物語は、濡れることを厭わない優しい恐怖と柔らかい戸惑いを感じることが出来る。ぜひ傘を差さずに読んでもらいたい!弱くて逞しい、魂のお話。2022/05/11
小夜風
24
【所蔵】レンタルビデオ店に毎日来てDVDを借りるでもなく、ある作品のパッケージを見つめながら涙を流す少年。有名なホラー映画のタイトルがたくさん出てきて、動画配信にないかなって検索しながら読みました。いくつかはウォッチリストに登録。死者が見える少年と、ある事件がきっかけで職を辞した元刑事。この世に未練を残した死者が何年も留まり続けている描写は読んでいて辛いです。死後に何かを伝えたり想いを通わせたりって、そんなこと実際には出来ないからこそいろいろ悲しかった。でも全体的にハートフルで軽く読むには良い感じでした。2020/09/16
クキモン
16
幽霊が見える少年と心に傷を負った元刑事の物語。歩行者を心配する交通事故で亡くなった老女、弟の幸せを願う7才の少女、幸せになれず嘘で自分を装飾するOL、何度も自分の死の瞬間を見めつづける少年など、登場する幽霊にまつわる物語はどれも切ないです。家族についても考えさせられるハートフルな物語でした。2021/07/04
秀玉
15
読んだ。もっと違う内容、たとえば死者を通して難解な事件、誘拐、抗争などの解決だと思っていたらハートフルミステリーっぽい。そして映画のシックスセンスまんまと言っても良い。唯一の違いは最後の結末に唖然としたブルースウィルスの役処ぐらいか。連絡短編だが、7歳で自ら命をたった女の子、その後ずっと弟を見守っていた。悲しい物語。これは傑作だ。小説には見える、話を聞く、ラブストーリーの幽霊とかいろいろいるが、ふと先日読んだ宇宙人の会話を思い出す。人間はありもしない物に畏怖の念を抱いていると。確かに合理的ではないかな。2022/03/07
きあ
4
シックスセンスが大好きな私には設定から面白いのはわかりきっていましたがのめりこむように読みきってしまいました。続編できてもいいような?