ちくま新書<br> 教養としての仏教思想史

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ちくま新書
教養としての仏教思想史

  • 著者名:木村清孝【著者】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 筑摩書房(2021/12発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074300

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内容説明

紀元前6世紀頃にゴータマがインドで始め、現在も日本文化に深く根を張る仏教。神を絶対者として崇める西洋的な宗教とは一線を画すこの信仰は、時代と地域を超えていかにして現在の形になったのか。上座部、大乗、密教、禅宗など、数多く存在する部派・宗派を歴史の中に位置づけ、それらの発展に秘められた膨大な知の全貌を俯瞰。さらに中国、朝鮮半島をはじめ地域ごとの展開にも目を配り、わかりやすく解説する。これだけは知っておきたい仏教の知識が満載の決定版入門書。

目次

はじめに
文化としての仏教
本書の構成
第1章 仏教の成立
開祖ゴータマ
悟りを開く
ブッダとしての教化活動
ゴータマの説法
第2章 部派仏教の展開
ゴータマの死
弟子たちの詩
結集と根本分裂
諸部派の形成
有部における「法」
無我と輪廻の問題
第3章 仏教の革新──大乗仏教
概観
般若経と維摩経
法華経
十地経
浄土経典
第4章 中観派とその思想
ナーガールジュナと『中論頌』
アーリヤデーヴァ
その後の中観派
スワータントリカ派
ディグナーガの論理学
第5章 瑜伽行派の形成と展開
第二期の大乗経典
「総合経典」の編纂──華厳経と大般若経
大般涅槃経と勝鬘経──如来蔵系の諸経典
解深密経
瑜伽行派の成立
アサンガとその思想──アーラヤ識と三性
ヴァスバンドゥ──唯識説の大成
ヴァスバンドゥ以後
ダルマパーラの役割
第6章 大乗から密教へ
如来蔵思想の大成──宝性論
密教の起源
大乗仏教と呪文
密教の伝承
密教の特徴
密教の経典
密教経典の思想──大日経と金剛頂経
理趣経について
密教は大乗か
チベット仏教のあゆみ
仏教の伝来と定着
チベット大蔵経の特徴と意義
第7章 テーラヴァーダ仏教の伝統
テーラヴァーダの意味
僧のすがた
ウポーサタの現状
スリランカ仏教の歴史
タイ仏教の歴史
ブッダゴーサとその思想
第8章 仏教東漸──中国仏教の形成
伝来に関する諸伝説
仏教信仰のすがた
仏典翻訳の開始
「文」派と「質」派
『理惑論』について
仏教の人生観はどう見られたか
仏教倫理の問題
『理惑論』の輪廻思想
第9章 「新仏教」の展開
基盤と背景
天台宗とその教学
智顗の『摩訶止観』
華厳宗とその教学
法蔵の思想
法蔵以後の華厳教学
浄土系の仏教
禅宗の誕生
禅宗の分立──北宗と南宗
民衆の仏教
総括と展望
第10章 韓国(朝鮮)の仏教
仏教の伝来と定着
ウォンガンの五戒
新羅の護国仏教
ウォンヒョとその思想
ウイサンとその思想
その他の仏教者
禅宗の伝来と分派
チヌルとその思想
ウイチョンとキュンニョ
李朝の仏教
第11章 日本仏教の濫觴
仏教の伝来
崇仏か排仏か
最初期の日本仏教と尼僧の誕生
聖徳太子と仏教
律令体制の確立へ
南都六宗
三論宗
法相宗
華厳宗
律宗
その他の諸宗
無常感の広まり
第12章 平安仏教の形成と展開
奈良から平安へ
日本天台宗の成立
空海と真言宗
東密と台密
本覚思想の形成
日本浄土教の萌芽
空也の念仏
源信と『往生要集』
貴族社会の変化と浄土信仰
神仏習合思想の展開
第13章 「鎌倉新仏教」の出現
法然と浄土宗の開創
法然の門弟たち
親鸞の生涯と思想
浄土真宗の展開
一遍の念仏思想
禅の諸宗
栄西と臨済宗
道元と曹洞宗
日蓮と日蓮宗
伝統仏教の変革
第14章 近世・近代の日本仏教
中世から近世へ
徳川幕府の宗教政策──寺院法度など
宗学の発達
諸教との論争
世俗倫理としての仏教
自由と反骨の仏教者
近代仏教の夜明け
仏教界の内部改革
第15章 仏教の現在と未来
日本仏教の現状
諸宗派の発生と展開
シンクレティズムと太子信仰
「神仏習合」のあゆみ
本覚思想の定着過程
仏教の世界性と多様性
仏教研究の発展とその危機
「共生」の基本問題
共生の場の捉え方
縁成の理念
共生から共成へ
あとがき
参考文献
略年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

俊介

17
2500年の仏教の歴史。各時代、各国の仏教思想家たちは、釈迦の教えをどのように継承し、発展させてきたか。膨大な情報を一冊に収めるので、それぞれは簡略な記述にはなるが、核心部分はきちんと押さえられるように工夫がされてあるなと感じた(その分、難しい議論は難しいまま記述されがちだったが)。仏教史の中では多くの宗派が生まれ、これほんとに同じ宗教なの?と思うくらいにそれぞれ違うのだが、思想史を振り返ってみると見えてくるものは多い。仏教の原点はやはり、慈悲/利他の精神だということは忘れてはならぬのだな、と改めて。2022/01/04

umeko

16
ごく身近にある仏教だが、こうして長い歴史を俯瞰してみると、時代の流れと場所の変遷で様々な形に変化し、非常に興味深く面白かった。しかし、その教義の内容は難解で、理解できないままの箇所もあり本当に苦労した。2022/02/22

moonanddai

10
「そもそもの」仏教から始まり、「ずっと今まで」の仏教の流れを追ったことになりますが、「教養」というのはやや難しい。この本の前に読んだ「初期仏教」の時も感じたのですが、よく言われる、人だの畜生だの地獄だのの輪廻から脱するための「悟り」を説いたといった、簡単にまとめていいものかどうかわからなくなります。そもそも自分だと思っているものは自分ではないといったところから始まり、なら輪廻ってなんだとか、悟りとは何かといったことが、(まだまだ)です…。中国、朝鮮、日本に伝わった仏教もまた、随分変わってきているようです。2023/02/23

owlsoul

4
ゴータマの説法は相手によってその内容が変わるため、一貫性がなかった。それを一つの思想にまとめようとした弟子たちは、議論の末に保守派(上座部)と改革派(大乗)に分裂する。インド仏教では人生を否定的に論じる傾向があるが、東アジアに広まった大乗仏教は、経典の解釈から生まれた本覚思想を支柱としたものに変容し、日本へともたらされた。「あらゆる存在がそのままで真実なるものとして肯定される」という本覚思想は、浄土真宗(親鸞)の他力本願や悪人正機説などによく現れている。その他、禅や密教など含め、仏教の多様さに圧倒された。2022/02/27

かみかみ

3
インドで仏陀による仏教成立してから中国や朝鮮半島を経て日本に至るまでの仏教の展開や伝播、変容についてコンパクトにまとめられている。大乗仏教は紀元前1世紀までにインドで成立していたこと、大乗仏教からいかにして密教が生まれたのか、といった過程について大まかに知ることができた。2023/04/20

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