内容説明
両親を喪って兄とふたり、道東の小さな町で暮らす少女。演劇の才能を認められ、周囲の期待を集めるが、彼女の心はふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動いていた(表題作)。苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながら描いた珠玉の短編集。
著者等紹介
高田郁[タカダカオル]
兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者(ペンネーム・川富士立夏)としてデビュー。2008年、『出世花』で小説家としてデビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
622
漫画の原作を小説化した、鉄道を通した優しく時には切ない短編集!どの短編も好きですね!どの短編も再読したくなるのは元々、漫画の原作だからなのかなと思います(^^)『車窓家族』を読んだら、物語の内容は違うけど有川浩さんの『阪急電車』を読みたくなったのは、俺だけか…(笑)『お弁当ふたつ』、『晩夏光』は泣けました(^^;)再読すること間違いなしです!!(^^)BGMにはカラーボトル『MESSAGE IN A BOTTLE』がいいかな(^^;)2016/04/15
zero1
591
生きることはみっともない?「みをつくし」の高田による、珠玉の短編集。「お弁当ふたつ」は実際にありそうな話。「車窓家族」は「阪急電車」(有川)の逆バージョンと言えばいいか。「ムシヤシナイ」は祖父と追い詰められた孫の関係。09年都立高校入試に出た「永代橋」(橋本紡)を思い出す秀作。表題作と「返信」、「雨を聴く午後」と「あなたへの伝言」は話がつながっている。厳しい現実を描いているが、高田らしく救いがある。「時代小説の人」と思われがちな高田だが、選ばれた言葉による優れた物語は時代を超越する!読む価値あり!の一冊。2019/05/31
Yunemo
365
何となくありそうながら、現実には難しいエピソード。著者自身があとがきで記しているように、生きにくい時代、でも遠い遠い先にある幸福を信じていたい、確かに、一つ一つの物語が謳っています。どれもが何とも言えない感動を湧き起こさせてくれます。「お弁当ふたつ」の夫婦のお互いの思いやりが、胸の奥底に伝わってきます。静かに静かに胸に沁みわたってきます。この感情をどうやって伝えたらいいのでしょう。実際に本作品を目にしないと難しいのでしょうね。本作品を通して、改めて、人間っていいよね、生きることっていいよね、実感です。2013/12/03
あすなろ
358
軌道春秋、悲喜交々。極めて簡潔な感想を求められればこの通り。列車は、様々な線路を、様々な人生のシーンを載せ、または情景を投射し走る。高田さん自身がセレクトした、過去の短編達は、哀しみ多く含んだセレクトである。ゴールデンウィークの谷間、通勤の気怠さの中に読むには最適な短編達であった。しかし、軌道春秋というサブタイトルはイイですね。言い得て妙。とても気に入った言葉です。2015/04/30
た〜
357
【心理描写型】鉄道がテーマというわけではなく、鉄道が舞台とも限らないけれどちょっと鉄道が関わった短編連作。かつて漫画原作として書かれた作品を小説化した作品とのこと。さすがに登場人物の心理描写は秀逸。個人的には「車窓家族」が好き。短編なのにさらに短編連作、それでいてちっとも薄くないとか凄すぎだろ。2013/11/20
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