出版社内容情報
「ヤクザの子どもである過去は消せない。ならば、ヤクザそのものを潰せばいい」――正範と寅。ヤクザである父を持つ二人の少年は、過酷すぎる十代を過ごし、それぞれにヤクザへの復讐を誓う。正範は猛勉強の末、検察官になり、暴力団取り締まりの最前線へ。そして寅は・・・・・・。二人の少年がたどり着いた結末とは!? 現役弁護士作家が描くヤクザ小説の新境地。
内容説明
「ヤクザはカスだ。どんな偉いヤクザでも」。ヤクザの父親を持った二人の少年。日常的な暴力、シャブに溺れる両親、ヤクザの子であるがゆえにされる差別…苛烈な少年時代を過ごした二人は、一方は検察官になり「暴力団撲滅」に邁進し、もう一人は皮肉にも親と同じく渡世の道を歩きはじめる。二人が幼き日に結んだある誓いとは!?そしてラストで明かされる意外すぎる結末とは!?現役弁護士作家が描く渾身の社会派小説。
著者等紹介
田村和大[タムラカズヒロ]
1975年生まれ。福岡県福岡市出身。一橋大学法学部卒業後、NHKの報道記者を経て2003年弁護士登録。17年に第16回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、18年、受賞作を改題した『筋読み』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiace9000
122
ヤクザの子として幼少期から苛烈なDVのなか育った正範と寅はヤクザを心底蔑み、恨み憎む。手段を選ばずヤクザへの復讐を誓う二人が選んだ道、それは検察官として外から、ヤクザとして内からヤクザ組織を壊滅させていくことだった。二人が目指したその先にあったものとは―。『孤狼の血』に比肩する圧倒的バイオレンスと迫真の任侠ノワール。血で血を洗う抗争の続く任侠道は、自尊心・我執・猜疑心によって覇する修羅道そのもの。そこに真っ向から立ちはだかる法曹界と警察権力。サスペンスフルな展開と切なさに胸拉ぐラストまで、一気読みは必至。2024/10/06
ナミのママ
83
正範と寅はヤクザの父を持つ2人の小学生、同級生の加夜も母子家庭で恵まれない。いわゆる親ガチャの3人が成長していく物語だがなんというかたくましいのだ。頭の良い正憲は改姓して東大から検察官へ。拳銃に魅せられた寅はヤクザとなる。道の離れた2人が密かに結びつき二大指定暴力団を撲滅するためあらゆる手を使っていく。こんな県が実在したら怖いが、フィクションと割り切れば派手な暴力シーンも突飛に感じるキャラクターの行動も楽しめた。2024/09/18
ゆのん
54
子供とは親の愛情を一身に受け、世話され健やかに育つ。そんな特別ではない当たり前の事を奪われた3人の子供達。その不幸はヤクザによってもたらされていた。自分達と同じ子供を出さない為、復讐の為にそれぞれの方法でヤクザ根絶に人生を捧げる正範と寅。本作に登場するヤクザは皆最悪で、復讐されていく様だけ注目すればスカッとするかと思われるが、復讐の鬼となり人生の全てを捧げる2人は最期までヤクザのしがらみから逃れられない…そう思うととても悲しい物語でもある。物語の冒頭から緊張感と重い気持ちを感じる作品だった。2024/08/03
しーちゃん
53
少年たちの戦いの狼煙を挙げた冒頭タイトル「断指。」その言葉通りのおぞましい暴力場面。昭和平成令和と時代を跨ぐ壮絶で果てしない復讐劇。暴力団員を父に持ち母はジャンキー。幼少期の親による虐待、学校でのいじめ。成長し同じ境遇の友と検事と暴力団幹部として、暴力団壊滅の計画を実行する。対照的な光と影となった2人の厚い友情は果たして報われるのか、かつての弱かった少年たちが殺しを正当化し、やがてのめり込んでいく過程が恐ろしい。死者にも大事な家族がいるという、当たり前に気づこうとせず、犯した罪は、とんでもない代償だった。2024/10/01
ヒデミン@もも
49
田村和大さん初読み。読み友さんの推しがなかったらご縁がなかったかも。感謝感謝。けして、分厚い本ではないが、なかなかの衝撃かなりの鈍器本。ヤクザの子ども達。親は選べないとか毒親なんてレベルじゃない。そして、その復讐も半端じゃない。とりあえず田村さん、他の本も読んでみよ。2024/11/25