出版社内容情報
メジャーデビューを果たしたロックバンドのボーカリスト・ミツトがマンションのベランダから転落し、この世を去った。バンドの中心的存在を失い、残されたメンバーの日常が一変する。ミツトは何故死んだのか? バンドの存続は? 今後の人生は? 不安と悩みを抱えながら未来を切り拓こうとする若者達の姿を描く長編小説。
内容説明
ロックバンド“サイナス”のボーカリスト洞口光人が突然この世を去った。作詞作曲のすべてを担当してきた若き天才との別れに、残されたメンバー5人の日常は一変する。メジャーデビューを果たし、音楽シーンで注目され始めた“サイナス”の未来は?恋愛や家族の問題に翻弄され、未だ癒えぬ心の傷に囚われる若者たち―。それぞれが悩みや不安、後悔を抱えつつ、自分を見つめなおした先にあった答えとは!?若者たちの等身大の姿を描く青春群像劇。
著者等紹介
朝倉宏景[アサクラヒロカゲ]
1984年東京都生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。会社勤めのかたわら小説を書き続け、その後退職。2012年『白球アフロ』で第7回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞し作家デビューを果たす。2018年『風が吹いたり、花が散ったり』で第24回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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シャコタンブルー
44
人気バンドグループのサイナス。その天才ボーカリストのミツトが28歳で夭折。残されたギター、ベース、マネジャー、ドラム、キーボード5人のメンバーそれぞれの視点から各章が描かれる。一人の天才を失った事による喪失感、虚無感、そしてメンバー同士の葛藤や微妙な距離感の違いが伝わってくる。それぞれの性格や個性が繊細に描かれているので、バンド活動の苦しみ、楽しさメンバー全員と苦楽を共有している連帯感のようなものが湧き上がってくる。本の表装も横断歩道を各自バラバラに歩きながも一つの方向に進むメンバーを上手く表現している。2020/03/21
kei302
43
自分はからっぽ。それでいいんじゃない。書名と表紙イラストに惹かれて手にした一冊。音楽は人と人を繋ぐ。天才的なボーカリストを失ったバンドメンバーの気持ちが交錯する短編連作。ドラムのまきの章がよかった。マネージャーの匠の章は泣けた。2020/04/04
あっ!chan
38
多くを語らず、わがままで、こと音楽についてはひりひりするような緊張感を醸し出す...まさに才気あふれるミツトを中心に集まったロックバンド「サイナス」、そのメジャーデビューを果たしたとたんに彼は突然世を去った。兄や恋人を含むメンバーたちは、ミツトとの思いでをたどりながら、これからの生き方を模索する。それぞれに見せたミツトのもう一つの人間らしい優しさを振り返りつつ、解散がちらつく追悼ライブの後にだしたそれぞれの答えは...「思い出してあげることが、生きている人の務めだよ」ミツトの一言が母を亡くして身に染みる。2022/03/10
達ちゃん
23
音楽の良さ、仲間の大切さなどなどじんわりと味わえるとてもいい話でした。このバンドのライブ、ぜひ聴いてみたいです♪2022/05/31
ゆにこ
12
なんとなくタイトルが気になった、初読みの作家さん。実写化したらドラムはほないこかにやって欲しい。2021/02/02