出版社内容情報
こかじさら[コカジサラ]
著・文・その他
内容説明
榎本佐和子は、平凡な専業主婦だったがパート感覚でフードコーディネーターの友人を手伝ううちに、料理研究家としてレシピ本を出版する。本は大ヒットし、佐和子は周りに祭り上げられるまま憧れの女性の地位をものにした。変わっていく金銭感覚、ふるまい、人柄に昔から佐和子を知っている人たちは、戸惑い始める。彼女を見ていると心がざわつくのだ。その理由は、単なる妬みなのか何なのか。きっと誰しも抱いたことのある微妙な感情を描き出す連作短編集。
著者等紹介
こかじさら[コカジサラ]
千葉県生まれ。中央大学専門職大学院国際会計研究科修士課程修了。出版社勤務を経て2010年よりフリーライターに。2016年『アレー!行け、ニッポンの女たち』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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utinopoti27
126
とりたてて才能があるわけでもない普通の主婦が、ふとしたきっかけでカリスマ料理研究家に成り上がる。本作は、シンデレラストーリーを地で行く主人公を取り巻く女たちの微妙な心の揺れを、それぞれの視点で描き起こした短編集だ。羨望や嫉妬に苛立ちざわつく心理、壊れてゆく家族の絆等々、ありがちな展開ではあるがつい引き込まれてしまう。やがて唐突に訪れる「祭りの終焉」。マスコミに散々担がれ、消費され尽くした彼女が、空虚な豪邸で見たものとは・・。安易なハッピーエンドにせず、イヤミス調の思わせぶりな収束が、この作品には合う。2020/07/21
ユザキ部長
103
生きてると、いらないものばかり欲しがる。口先で誉め会い、心の中では自分こそと根拠のない自覚ばかり。ざわつくばかりで虚しい事この上ない。お金ってものすごく大事だと身をもって知る。親がグズグズだと子供の成長って早いのかなぁ。ひどく残酷な終わりかた?いや良かったんだろうな。2018/07/13
ゆみねこ
89
平凡でどんくさい一人の主婦・榎本佐和子があることをきっかけに人気料理研究家・さわこ先生になる。踏み台にされたフードコーディネーター、さわこに憧れるOL、隣人の主婦、実母、そして娘。さわこ本人が周りのことが全く見えていないことに驚いた。面白かったです、お薦め。2019/04/02
yumiko
87
ある日突然平凡な主婦からカリスマ料理研究家となった佐和子。次第に変貌していく彼女を複雑な感情で見る者たち…友人、隣家の主婦、ブロガー、そして家族。嫉妬なのか羨望なのかもやもやした感情が彼女たちを苛む。確かにいるなあ、悪意はないけど他人の感情に鈍感なタイプ。そんな人でも人知れず悩みを抱えていたりするものだけど、これほど暢気な人も珍しい。男性陣には理解不能だろうけれど、嫌いだからこそ離れられない、そんな面倒くさい性分の女性が一定層いるわけで…そんな御仁と出会うかどうかはそれこそ運。読メにもいたりしてね♪2018/03/07
えりこんぐ
76
初読み作家さん。普通の主婦がトントン拍子に人気料理研究家になる。努力してきた人はたまらないだろうなぁ。佐和子のまわりの人達はざわつきまくる。うわぁ..こんなに誰からも祝福されない成功なんて嫌だ。。娘の岬の章はざわつきよりも悲しくて胸が痛んだ。『あの人は今』的な番組に出る人ってこんな感じ?2018/01/22