内容説明
私は産みたいのだろうか?産みたくないのだろうか?子供、仕事、恋愛、自由―たったひとつの人生だから。踏みきれないあなたに捧げる物語。心揺さぶる感動の連作短編集。
著者等紹介
宇佐美游[ウサミユウ]
1962年青森県生まれ。モデル、商社OL、ネイルアーティスト等を経て、フリーライターとして女性誌などで活躍。2000年「調子のいい女」で第6回小説新潮長篇新人賞を受賞しデビュー。女性の夢や欲望の本音を代弁する、軽妙かつシビアな作風が読者の熱い支持を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うさうさ
27
仕事を持つ女性たちの子どもを産む、産まないの短編集。ものすごく鋭い描写で驚いた。デリケートなテーマでありながら、悩む気持ちや、産みたくない気持ちがヒリヒリするほどリアル。欲しくても産めない人を責める人はいないが、産まない選択をすると風当たりが相当キツイので、この作品はなかなかに胸のすく思いがするな。最後に出産させた女性があまりにも薄汚い描かれ方なのは、著者のじくじくたる思いでもあるのかしらと邪推してしまう。2016/04/06
みさどん
14
レポのような女性の悩みの小説短編集。多様な生き方が許されている現代とはいえ、まだまだ日本は子育てや家事は女性と決まっている部分は大きい。出産という、身体や年齢やその後の仕事に関わることがたちはだかると、本のように、心が大きく揺れ動くだろう。ここでは、男性が良き理解者だったり、ただの傍観者だったり、利用しようとする屑だったりしている。どんな男性をゲットするかも女性によりけり。そりゃそうだ。長きにわたる子育てがここから始まるのだから、出産ってとても大きいこと。2016/11/27
野のこ
10
女として子供を産むということ、働くこと。自分の親や姑、友人、夫との繋がり。いろんな夫婦のかたちがあるなぁ。何をもって人生を歩んでいくか考えさせられました。アラサーなので私にぴったりな一冊でした。2016/05/16
horihori【レビューがたまって追っつかない】
7
仕事、セックスレス、不妊、老後の不安。様々な背景を抱えた女たちにもたらされる出産事情。自らの意志で歩んでゆく6人の女性の連作短編。出産のデメリット。タイムリミットがある権利と義務。未経験に対する不安。悩みの描写はリアルで身につまされる。タイムリミットは思ってたよりもシビアで、でも産んでしまうと「自分のためだけには生きられない」メビウスの輪のように、永遠に相交わることのない悩み。結局、正解がないだけに、結末もうやむやだけど、迷って悩んで答えを見つけられなくて当たり前なんだって少し救われた。 2008/04/03
fukuokakomachi
5
初めての作家さん。 香山リカさんや酒井順子さんの産まなかった女性に焦点をあてた本が出版されているが、こちらは9年前の出版ながら、同じように子供を産むことを迷う女性達を描いた連作作品集。母親の呪縛に悩む女性の話もあり、古さは全くない。というか、今になってようやくこうした、子を産むかどうかで苦悩する女性にも光があたったというところだろうか。 子供を産むかどうかは究極の個人の選択。とはいえ自分の意志だけでどうにもなるものでもないし、個々人の選択や生き方が尊重される社会になってほしい。2016/07/22