内容説明
宣教師ルイス・フロイスがイエズス会本部へ送信した「一五八二年度日本年報」によると、信長は天下統一後に「シナ」征服のための大艦隊建造を計画していたという。その信長の壮大な構想が天正十年夏、京の本能寺において一瞬のうちに潰えてしまう。日本史はおろか、東アジア史にとっても極めて重大な意味を持つ信長の死。しかし、強烈な個性を持った専制君主が本能寺で憤死したという歴然たる史実を除いて、現在までその真相は何ひとつ明らかになっていない。
目次
第1章 「本能寺の変」の四年前から画策されていた信長暗殺計画
第2章 信長の野望―天皇を超えようとした男
第3章 本能寺の変―信長が光秀に授けた密命
第4章 本能寺の変―光秀を謀反に走らせた「朝廷グループ」
第5章 本能寺の変―光秀はなぜ三日天下に終わったのか
エピローグ 合戦よりも「陰謀」…戦国武将はどうやって版図を拡大したか
著者等紹介
跡部蛮[アトベバン]
1960年大阪市生まれ。立命館大学卒。出版社勤務などを経てフリーの著述業に入る。別名にて経済・社会関係のノンフィクションを執筆するかたわら、東京歴史ミステリー研究会を旗上げし主宰する。戦国時代を中心に多くの史料を駆使し、歴史の表層からは見えない歴史ミステリーの謎解きをおこなっている。現在、博士後期課程(日本史学専攻)に在籍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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逍遥遊
4
24-01-20210704 【ベストブック】多少自分の考え方とは違いますが、本能寺で家康を暗殺しようとしていたというのは賛成です。事前に直江兼続に連絡していたこと、安土城の本殿や天皇の御所がどのように作られていたかというのは合点が。だから安土城を燃やしたというのも理解出来ます。光秀って凄いっすねぇ。たまたま歯車が噛み合わなかったけれど、いろんな根回しが出来た人物だったんだとあらためて尊敬。一読の価値ある書。2021/07/04
Kaz
2
なかなか面白い説でしたが、仮説を実証するための根拠に弱さを感じました。光秀が信長を討つ根拠があまりにも脆弱すぎます。ただ、もともとこの事件は、光秀の謀反とその後の動きにあまりにもギャップがあり、しかも資料が少ないうえに怪しいものも多く、真相には決してたどり着けない類のものだと思います。筆者のような想像力あふれる説を今後も期待します。2014/03/11
東隆斎洒落
2
「眉に唾」で、新説を読了。 武田が滅びた後は東国の家康との同盟は不要であり脅威との見立てにより、信長自身が手を下さず、光秀を遣うというのは、少々無理があるが面白い。 本能寺の変、秀吉の中国大返し、光秀のその後の失態・・・何れにしても謎の多い歴史ミステリーである。 その他、安土への遷都、シナ制服のための大艦隊建造計画など、歴史にタラレバはない分、フィクションとしても十分楽しめる。2013/01/05
psychicer
2
武田氏という巨大な敵がいなくなり、たしかに家康の利用価値は減ったかもしれないが、わざわざ殺そうとまではしていないはず。それになぜ家康の接待役を解任されることによって光秀が信長ではなく家康に恨みを持つようになるのかが理解不能。なかなか説得力のある斬新な新説だったが、表題だけは戴けない。2012/08/12
じぶちゃん
2
なかなか斬新な新説。ベースの黒幕については従来説を踏襲しているがきっかけについてのタイトルのような仮説を立てている。文献の記述上はちょっと苦しいところもあるが説そのものはなるほどと思わせる内容がある。2011/07/19