内容説明
「文化史」は、歴史的な過去の人々の「生活の跡」や「行為の跡」を「外側から」たどるのではなく、可能なかぎり、彼らの「心のなかに」入り込み、人々と共に考え、感じてみよう、とするときに出現するのである。ヨーロッパの伝統のなかで生まれた「教育」に関する人々の語り方、考え方、感じ方を、現代日本の「教育問題」を解決するためのものとして、共感しつつ考える…。
目次
序章 文化史的教育思想史の試み
第1章 古代ギリシアとロゴスの教養教育―おしゃべりが生んだ弁論家と哲学者
第2章 信仰の時代―西欧の教師・アウグスティヌス
第3章 無限への飛翔―ジョルダー・ブルーノとルネサンス
第4章 絶対王制下における文化的エリートの形成―17世紀フランス
第5章 18世紀・光の世紀―「学校」の成立とたくましさを失った子どもたち
第6章 フランス革命後のフランス―「エコール・サントラル」にみる啓蒙思想の実験/経験とその遺産
第7章 ロマン主義の開花―後進国の悲哀
第8章 紳士の国の優雅と悲惨―産業革命以後のイギリス
第9章 アメリカにおけるフェミニズムと教育―抑圧からの解放と不平等の是正に向けて
第10章 ポストモダン的状況―第二次世界大戦後における教育の危機