出版社内容情報
生成AIが自分の代わりにさまざまなことを考えてくれる時代、私たちはどのように思考を深めていけばよいのだろうか。解剖学者養老孟司氏が思考の方法について、4人の識者と語り合う。
認知科学者の今井むつみ氏は、AI時代に人間に求められるのは「アブダクション推論」の力だという。アブダクション推論とは、「この状況なら、これが真である蓋然性が最も高いだろう」と思われる推論を行なうこと。AIは膨大なデータをもとに推論を行うが、そのようなデータを持ちえない人間は限られたデータから跳躍を思考の跳躍を行なって推論を行う必要がある。質のいい推論を行なうために大切なのは、物事の全体像をつかむことである。養老氏は「全体像をつかもうとするのは、まさに自分がこれまでやってきたこと」と語り、その一例を語る。
民俗学者兼レンコン学者である野口憲一氏は、1本5000円のレンコンを売り出して成功を収めた。5000円のレンコンを売り出すきっかけになったのは、人文社会科学で唱えられる理論「作られた伝統」だったという。さらに1本5000円という価格には、「農家のソフト」という身体知の価値が含まれていると説く。
ベストセラー『僕には鳥の言葉がわかる』の著者である鈴木俊貴氏は、多くの研究者が仮説を立ててから研究のフィールドに入るのに対し、「それでは新しい発見はできない、自分は一つの場所で観察を続け、気づいたことから仮説を立てて研究を進めている」と述べる。
漫画家のヤマザキマリ氏は、子どものころの孤独や「お風呂には入れない」という欲求不満が『テルマエ・ロマエ』につながったと振り返り、養老氏は「自分の中を突き詰めていくと、逆に極めて一般に通じる表現になっていくんだ」と語る。
質のいい推論を行いたい方、問題解決の力を身につけたい方、探究活動において新たな気づきを得たい方、魅力的な作品を作り出したい方に、自分なりの思考法を身につけるためのヒントを提供する一冊。
【目次】
内容説明
新たな気づき、問題の解決、創造性…。生成AIが自分の代わりにさまざまなことを考えてくれる時代に、自分なりの思考法を身につけるためのヒントを提供する。AI時代に求められる「アブダクション推論」の力、「農家のソフト」という価値に気づいたレンコン農家の思考、鳥の言葉の意味を明らかにした観察と推論、大人気漫画を生んだ孤独や欲求不満…。言葉や意識について考え続けてきた養老孟司が4人の識者と語り合う。
目次
第一章 AI時代に求められる「アブダクション推論」の力 今井むつみ×養老孟司(乳幼児の思考力に驚く;アブダクション推論とは何か ほか)
第二章 「貧乏レンコン」が1本5000円でも売れた理由を考える 野口憲一×養老孟司(ネクイハムシとレンコン;人文社会科学から得られたヒント ほか)
第三章 新しい発見が生まれる思考法 鈴木俊貴×養老孟司(DNAに惹かれるか、生物そのものに惹かれるか;他の研究者とは研究のアプローチがまったく逆 ほか)
第四章 創作の発想はどこから生まれるのか ヤマザキマリ×養老孟司(絵では食べていけず、漫画を描き始めた;欲求不満から生まれた風呂漫画 ほか)
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年、鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。95年、東京大学医学部教授を退官し、同大学名誉教授に。89年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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