出版社内容情報
絵画のなかのあの美しいひとは……。美が招くのは幸運か破滅か。ベストセラー作家が、気になる名画の奥に潜む人間ドラマを読み解く。
中野 京子[ナカノ キョウコ]
著・文・その他
内容説明
絵画のなかの美しいひとたちは、なぜ描かれることになったのか。その後、消失することなく愛でられた作品の数々。本書では、40の作品を中心に美貌の奥に潜む光と影を探る。
目次
第1章 古典のなかの美しいひと(プロセルピナ―ロセッティ;アポロンとマルシュアス―ペルジーノ ほか)
第2章 憧れの貴人たち(侯爵夫人ブリジーダ・スピノラ=ドーリア―ルーベンス;デヴォンシャー公爵夫人―トマス・ゲインズバラ ほか)
第3章 才能と容姿に恵まれた芸術家(シャネル―マリー・ローランサン;凸面鏡の自画像―パルミジャニーノ ほか)
第4章 創作意欲をかきたてたミューズ(商人の妻のティータイム―クストーディエフ;ブージヴァルのダンス―ルノワール ほか)
著者等紹介
中野京子[ナカノキョウコ]
北海道生まれ。作家、独文学者。西洋の歴史や芸術に関する広範な知識をもとに、絵画エッセイや歴史解説書を多数発表。新聞や雑誌に連載を持つほか、テレビの美術番組に出演するなど幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイランド
155
はっと息をのむような美男美女が描かれた絵画が並ぶ何とも豪華な一冊。幾つかの絵画にはモデルの写真も添えられており、絵画との違い、絵画のみが持つ力強さを実感させられる。そして絵画のモデルや画家に纏わるドラマは、絵画を見る目を一変させられる。卓越した美貌は、底に悲劇性を秘めているものなのか。美貌と芸術性の両方を兼ね備えている人たちには、ずるい、の一言!また一つ新しい美術の扉を開いてもらった気がして、作者には感謝しかないのだが、表紙の美女を見て「あ、去年PTAの役員をした人だ」と思ってしまうのは、例の本の功罪w。2019/04/21
もんらっしぇ
118
そもそも「怖い絵」シリーズが有名な中野京子さん。この連休中、積読ならぬ何テラも貯まった“積録”を解消中、3年前にBS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」にて表紙のクラムスコイ作「忘れえぬ女」を解説♪慌てて引っ張り出しての積読解消となりました。収録は2018年末。文化村での「ロマンティック・ロシア展」。五郎さんからは『この展覧会があるので表紙にしたのですか?』と問われたようですがPHPでの連載時すでに『一冊の本にするなら絶対にこの絵』と決めていたそうな。なので作品来日を知ってびっくりして、嬉しかったとのこと…2022/09/21
はる
103
面白かったです。一枚の絵に残された美貌の持ち主たち。その人生はどれも濃厚でドラマチック。一人ひとりはわずか数ページですが、中野京子さんの豊富な知識と巧みな文章が秀逸。もっと多くの絵を見てみたいし、もっと詳しく彼らの資料を読んでみたくなります。読みたい本が増えてしまって…そういう意味では、この本は優れたブックガイドと言えるかも。2018/09/16
アキ
102
表紙の絵・イワン・クラムスコイ『忘れえぬ女』1833年国立トレチャコフ美術館(モスクワ)は、トルストイ「アンナ・カレーニナ」が刊行された6年後に完成したらしい。クラムスコイはトルストイと親交があり、後に肖像画も描いている。ロシアでのタイトルは<見知らぬ女>だそうだ。本作が来日した際、日本語のタイトルをつけたらしい。「北方のモナリザ」の異名をつけたのも日本人なのでしょうか?美男美女の24作品。どうも男性目線では美女のその後の人生を知りたくなる。忘れえぬ女のモデルがアンナだとしたら、その後の人生は悲しい結末。2022/02/10
あっか
87
『怖い絵』シリーズ中野京子さんの最新刊。相変わらずの面白い見解と解説、『中野節』はスカッと気持ち良く、読んでいても楽しい!神話の中の人、実在の人物、はてまた女性だけでなく男性も登場します。中野さん解説の中で特に人気(?)のモンテスキュー伯爵も^^ただの美術品解説だけではなく、当時の人がどういう思考回路だったかにも思いを馳せ、うまく現代とも融合させてくれるので分かりやすいのです。オチにクスッともさせてくれます。アルテミジアのユーディトはわたしもカッコいいと思う!解説に唸ったのは『スザンナと長老たち』かな。2018/12/07