出版社内容情報
【著者紹介】
皇學館大学文学部教授
内容説明
幕末に国のあり方を憂い、指導者として、また人として志を貫いた生き方とは。いまこそ日本人が学ぶべき大切なこと。
目次
はじめに 『留魂録』の奇跡
第1章 死生を想う
第2章 死生に対す
第3章 死生を悟る
第4章 死生を決す
第5章 死生を定む(『留魂録』上・安政六年十月二十六日)
第6章 死生を分かつ(『留魂録』下・安政六年十月二十六日)
第7章 死生を超えて―わが兄・吉田松陰
おわりに 魂をとどめて
著者等紹介
松浦光修[マツウラミツノブ]
昭和34(1959)年、熊本市生まれ。皇學館大学文学部を卒業後、同大学院博士課程に学ぶ。専門は日本思想史。歴史、宗教、教育、社会に関する評論、また随筆など、幅広く執筆。現在、皇學館大学文学部教授。博士(神道学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鉄之助
275
これは「奇跡の書」だ。吉田松陰が伝馬町で処刑される前日、書き上げた「留魂録」が、一字一句そのまま、現存していること自体が奇跡なのだ。本書の「はじめに」にその経緯が詳しく書かれている。松陰は、遺書ともいうべきこの書付を2通用意する。1通は、長州へ向け送り、1通は、同じ牢にいた罪人・沼崎吉五郎に託す。ここからの、2通の来歴が、超ドラマチック。そして、この松陰の魂の書を「新訳」した著者の魂もこもっている。座右に置いておきたい「人生の書」になった。2024/04/28
にいたけ
45
魂を留めた記録、まさにそれ!!吉田松陰が死罪になる前日にしたためた書物。同じ牢屋にいた、沼崎吉五郎に「自由の身になったら長州藩の者に手渡して欲しい」と託された。三宅島に島流しとなった沼崎は17年後にその約束を果たす。まさに吉田松陰の魂が留まっている。自分がいなくなっても自分の志を実現してくれるものが現れる。そう信じて亡くなった吉田松陰。なぜ捉えられ処刑されたのかその時の気持ちはどうなっていたのか。松蔭愛に溢れた作者の言葉はちょっぴりくどい。が人生こうあるべきと背筋が伸びる本。2023/06/15
Kentaro
29
吉田松陰がペリー来航時に、黒船に乗り込もうとした、下田踏海事件の時、ただ一人、松陰に同行したのが、重之助だ。重之助は、長州藩の足軽の出身で、江戸の長州藩邸で勤務していたが、松陰と出会い、その考えに共鳴し、行動をともにすることを決心した。その決死の行動も失敗に終わり、結局のところ、二人は「自首」することになり、世の中には、私たちの行動について、誉める人もあれば、けなす人もあるでしょうが、言いたい人は、なんとでも言えばいいのです。私たちの心のなかは、ただ神さまだけがご存じなのですから。という和歌を残している。2023/12/30
ロビン
22
幕末長州藩の思想家・教育者であった吉田松陰の遺書「留魂録」と、彼の死生観を表している手紙や論文を解説した一冊。著者(訳者)は思想的に右寄りの方のようで、時々個人的な見解や逸話が差し挟まれるのが難ではあったが、松陰への敬愛の念が深く自分なりに志を継いでいきたいとの思いはよく伝わってくる。祖国の問題に対する当事者意識の強さと先を見通す見識、命さえ擲つ覚悟のある私心のなさと勇気、至誠を貫く生き方によって多くの弟子を育てたこと・・過激だが純粋で、まさにソクラテスのいう「シビレエイ」の如き人であったと思う。2021/02/26
憲法記念日そっくりおじさん・寺9条
21
吉田松陰の人となりを伝える一冊。留魂録だけではなく、書簡や妹の談話も収録。自分が松陰より歳をとったからか、松陰という若者がかわいらしくて仕方ない。最後の妹による追憶を読むと、つい涙ぐんでしまった。過激で理屈っぽいのに、神の如く優しい不思議な若者。2011/11/12