出版社内容情報
日清・日露戦争を経て、列強の仲間入りを果たした日本。興隆期日本の外交を担った小村寿太郎の生涯を、日本近代化の歴史と共に描く。
日清・日露戦争を乗り切り、列強の仲間入りを果たした激動の時代の日本の外交を担ったのは小村寿太郎であった。
▼寡黙、不言実行、一言然諾といった日本の武士の道徳を重んじた小村の愛国心は疑う余地もないが、このような態度は外交においては不利に働くこととなる。世論・新聞といった「情報」の重要性を認識できず、社交を重んじなかったために、日露戦争の講話交渉の際、米国における世論・新聞操作においてウィッテにおくれを取り、交渉をロシア側に有利に進めさせてしまうこととなったのである。
▼しかし、私心なく国益を守ることだけを考えて、決して譲らぬ信念を持ち、機会をとらえればただちにその信念を実行に移す度胸を持った小村は、帝国主義時代の日本の国益を守るために、なくてはならぬ人物だったのである。
▼愛国の外交官の生涯を通して、世界の一等国を目指し、西欧列強に挑んだ日本の姿を描く。
●第一章 貧交行
●第二章 水を得た魚
●第三章 瓦解する清帝国
●第四章 議会民主主義への執念
●第五章 ロシアの東方進出
●第六章 ロシアの満洲占領
●第七章 日英同盟
●第八章 日露開戦
●第九章 日本民族の興隆期
●第十章 死闘
●第十一章 世界史の分岐点
●第十二章 ポーツマス条約
●第十三章 韓国併合
●終章 明治の終わり
●あとがき
●文献目録
●小村寿太郎 年表
内容説明
世界の一等国を目指し、西欧列強に挑んだ明治日本の気概。乃木希典、東郷平八郎、秋山真之…。男たちが戦い抜いた日本の興隆期を、日露戦争を乗り切った愛国の外交官の生涯を通して描き出す不朽の名作。
目次
貧交行―貧乏を忘れ国事ばかり考えていた国粋主義者の信念
水を得た魚―小村は時代が要請する「狂者」であり「〓(けん)者」であった
瓦解する清帝国―アジア最後の帝国は欧米列強になすすべなく屈した
議会民主主義への執念―自由民権運動の燈を絶やさなかった男・星亨の生涯
ロシアの東方進出―暴力と懐柔によって既成事実を重ねるロシアの手法
ロシアの満洲占領―ロシアの意図を考えればいずれ戦争は避けられない
日英同盟―小村の意見書が英か露かの選択に決着をつける
日露開戦―その背景には日本の弱点を補う「日英同盟」があった
日本民族の興隆期―日本人の愛国心に世界は驚嘆した
死闘―旅順港攻略戦は日露戦争の最も悲痛な叙事詩だった
世界史の分岐点―日本海海戦は奇蹟の大勝利
ポーツマス条約―ローズウェルトの説得にも小村は譲る気がなかった
韓国併合―他に選択肢はあったのだろうか
明治の終り
著者等紹介
岡崎久彦[オカザキヒサヒコ]
1930年大連生まれ。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格し外務省に入省。1955年ケンブリッジ大学経済学部学士及び修士課程修了。1984年初代情報調査局長に就任。その後、駐サウジアラビア大使を務め、1988年より駐タイ大使。1992年退官。博報堂特別顧問を経て、現在はNPO法人岡崎研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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