出版社内容情報
ウツを発症した金之助の話し相手は、黒猫!? 文豪・夏目漱石が誕生するまでの舞台裏を、史実に基づき、感動的に描いた傑作長編小説。
長尾剛[ナガオタケシ]
作家
内容説明
ウツを発症した夏目金之助の話し相手は、“黒猫”だった!?小泉八雲が解任された後釜として、帝大講師となった金之助は、学生たちとの確執に悩むとともに、自殺をほのめかす教え子の対応にも苦慮し、やがて心を病んでしまう。一方、妻の鏡子は夫の病を治すべく、一念発起して行動を起こすのだが…。不世出の文豪・夏目漱石誕生の舞台裏を、史実を踏まえてドラマチックに描く。
著者等紹介
長尾剛[ナガオタケシ]
東京生まれ。東洋大学大学院修了。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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mae.dat
242
夏目漱石の事だった。人気ですね。史実も良く調べられているみたいで、それを土台に脚色も入れつつ物語に仕上げられていました。小泉八雲が辞めて、代わりに漱石が帝国大学(東京大学)の講師になって〜『吾輩は猫である』が出版される迄のお話。「差別表現と取られかねない部分もあるけど、時代が明治と言うことも鑑み、当時常用された表現のままにしてます」みたいな事を丁寧に断っていますが、以前に読んだ漱石の半生を描いた話の方がハラハラしましたし、こちらはマイルドに感じましたよ。大方流れを知っており、ラストの予測がつくからかな⁇2023/01/26
優希
45
夏目漱石の物語なんですね。小泉八雲解任後、帝大教授になった金之助。しかし結果として鬱になってしまうのが苦労の連続だと思いました。文壇にあんな面白い作品で登場したのに、そこに至るまではいろいろあったんですね。話し相手に猫がいなかったら、鏡子が一念発起しなかったら作家「夏目漱石」は存在しなかったのかもしれません。2023/05/17
to boy
32
期待以上に面白かった。史実にフィクションを加え小説家漱石誕生の場面をうまく描いています。東大の英語講師でありながら何か物足りなさを感じていた金之助。妻の鏡子は悪妻と聞いていましたがこの小説ではりっぱな妻として描かれています。えらそうな写真の漱石からは想像もつかない金之助の日常が暖かなまなざしで描かれていて嬉しいです。2016/06/21
ジュン【笑う門には福来る】
11
この本は、夏目漱石の『吾輩は猫である』が出版される前の一部フィクションも交えたお話です。私自身、生き方が下手で精神不安定なところがあるので、救いを求めるかのような感じで読んでみたくなったのがきっかけです。まさに自分の心に寄り添ってくれる本でした。『本当の生き方』心に刺さりましたね。 夏目先生と猫のやり取りがほんとに面白い!(笑)生き方を達観してるというか、猫そのものの性質が滲み出てる!猫飼ってる人なら思わず読んでいて、笑みが零れると思います。以前にも増して、夏目漱石の本を全部読みたくなった!2019/05/19
ゆうこ
8
夏目漱石といえば『吾輩は猫である』しか読んでことがないので、ことさら楽しい本でした。悩める夏目金之助の前に現れた小さな黒猫。人の言葉は聞き、話す小さな猫が金之助を一大文豪に育て上げる(は,大袈裟かな)までの話。猫の台詞にも考えさせられるものはありますが、夏目の神経症をみた尼子医師の台詞『…病気に大切なのは、適切な治療と周囲の慈しみです』と言う大切な言葉にも巡り合うことができました。夏目漱石に興味がなくても、きっと興味を持つようになる本だと思います。2024/04/17