出版社内容情報
ドストエフスキーの5大長編の中でもロマンとサスペンスに満ちた、最高の恋愛小説とも呼ばれる傑作。(全4巻)
内容説明
人々は彼を、愛情をこめて「白痴」と呼ぶ…。この最高の「恋愛小説」はペテルブルグへ向かう鉄道列車の中から始まる。スイスからロシアに帰る途中のムイシキン公爵と父親の莫大な遺産を相続したばかりのロゴージン。2人の青年が出会った絶世の美女、ナスターシャをめぐる熱き友情と闘い。
著者等紹介
ドストエフスキー,フョードル・ミハイロヴィチ[ドストエフスキー,フョードルミハイロヴィチ] [Достоевский,Ф.М.]
1821‐1881。ロシア帝政末期の作家。60年の生涯
亀山郁夫[カメヤマイクオ]
1949年生まれ。名古屋外国語大学学長。東京外国語大学名誉教授。ドストエフスキー関連の研究のほか、ソ連・スターリン体制下の政治と芸術の関係をめぐる多くの著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
95
「長い・小難しい・テンション高い人々が多すぎ」なドフトエフスキー作品でとうとう、『白痴』に着手。元・癲癇持ちで「白痴」と呼ばれるムイシキン公爵ですが、彼は嫌味ではないピュアさがあって人々がその言動に苛立ちつつも好感を抱いてしまうのも納得。一方で俗物・器の小ささ丸出しのガーニャ、最低!だからこそ、ナスターシアがガーニャに「燃えているお金を拾いなさい!」という場面はドS心にも満足しました(黒笑)いつ、次巻の翻訳が刊行されるのか、楽しみで待ち遠しい作品が増えました。2017/03/10
Shintaro
58
やあドスト、久しぶりだね。まあゆっくりしていきなよ。僕もじっくり付き合うつもりだ。前回の『罪と罰』に比べてさらに饒舌になっているね。僕にとっては登場人物の独白を追うだけで物語が展開するから早く読めるが、執筆も早くなるんじゃないかい。それにしても大作を次々に書く執筆意欲は大したものだね。さすが文豪と言われるだけある。本作には金(相続)、恋愛、名誉、人間関係、嫉妬などありとあらゆる要素がある。そして韓ドラのように驚くべき展開がある。ムイシキンはイノセントを象徴する。対して小悪魔のようなナスターシャ。次巻へ。2017/08/14
kazi
43
やっと1巻読み終わりました~。4大小説の中でもっとも難読だと感じるのは私だけでしょうか?登場人物が多い上に各人が複雑な思惑で行動しているので、物語の流れを理解するのに非常に難渋しました。今作も相変わらず巻末にある解説の充実ぶりが凄まじい。作品が成立した当時のロシアの時代背景など、作品を読み進める上で非常に参考になりました。解説でも触れられていたがナスターシャの誕生日の祝いの席でのムイシキン公爵の「あなたは苦しみぬいて、それでもあの地獄から清らかなまま出てこられた」というセリフが気になる。2021/01/28
里愛乍
41
久しぶりのドストエフスキーです。誠実で大人しそうに見えてぽろっと辛辣、老若男女問わず人に好かれるタイプの青年が主人公。相変わらずよく喋る登場人物たち、キャラの書き分けが見事です。初対面からロゴージンに好かれたり、夫人や三人の娘さんとお喋りしたり、かと思えばガーニャにめんどくさい感情持たれたり(これはやたらと彼の地雷を踏んでるからだけど)とかくこの巻き込まれ的な立場にいながらも天然な公爵の言動に読み手としても惹かれずにはいられない。死刑の描写は見事ですね。一番興味深かったかも。2019/05/14
ころこ
30
辞書には白痴とは軽度の知的障害者のことと記してありますが、ムイシュキンは白痴ではないでしょう。彼は知性が無ければ成り立たない会話と、その会話によって相手や会話を聞いている聴衆を魅了してしまう能力を持っています。彼は一見すると善意の人にみえ、それが周囲からの信頼の源泉のようですが、彼の開放性はシニフィアンに対して複数のシニフィエを想定していないために起こります。嘘をつかないということだけではなく、比喩表現も使わない、さらに無言に対するシニフィエも無いということは、彼の仕草から内面を読み取る必要が無い安心感に2018/08/25