内容説明
忠臣蔵の仇役として傲岸不遜の代表とされてきた吉良上野介義央。だが、その世評は歪められたものではなかったか―。新たな視点から赤穂事件の新解釈を試みた、著者渾身の書き下ろし。
目次
第1章 忠臣蔵、この虚実あざなえるもの(忠臣蔵の虚と実と;浅野内匠頭、なにゆえの刃傷か;伝承が創り出す幻)
第2章 吉良と浅野をめぐる諸々の事情(浅野家はなぜ接待費用を出し惜しんだのか;山鹿流軍学と浅野家の“文化”;吉良家の“文化”と保科正之;上杉と吉良の血縁は固い)
第3章 誤解の構図(上杉綱勝怪死事件とけちのつき始め;吉良はほんとうに綱勝を殺したか;凶兆―亀井〓親刃傷未遂事件;横暴なる綱吉の裁き)
第4章 上野介の油断と誤算(なぜ上野介は上杉家を頼らなかったのか;上野介の本心;討ち入れられた吉良邸;スケープゴート・吉良上野介義央)
第5章 脇役たちの忠臣蔵(幸せだった義央の妻と娘たち;哀れなる生涯、吉良義周;大石内蔵助、隠忍自重の英雄は実像か)