出版社内容情報
「はじめに」より
生まれたばかりの赤ちゃんの手は、固く握ったままです。やがて、成長とともに自分で自分の手を動かすことができるようになりますが、すぐに指が思いどおりに動かせるわけではありません。5本の指がそれぞれ独立して動かせるようになるのは幼児期後半です。このように、全ての赤ちゃんは、手先が不器用なところから出発するのですが、幼児期後半にもなると、器用な子どもと不器用な子どもが出てきます。子どもの手先が不器用な場合、一つには、発達が晩熟であることが考えられます。運動発達のスピードは子どもによって違うので、この時期には器用さの差となって表れてくるのです。もう一つは、発達障害の子どもの場合です。発達障害では、本来の特徴に加えて、手先の不器用さがあることが指摘されています。
一般には、子どもに手先の不器用さがあっても、そのうち直るだろうと楽観視していることがほとんどですが、放っておいてどうにかなるものではありません。それどころか、不器用さが深刻な場合は、製作やお絵描きなどが苦手になって、やりたがらなくなります。そして、取り組まないとますますできなくなるという悪循環に陥り、その結果、書字や描画活動そのものに自信をなくしかねません。そこで、手先の不器用な子どもほど、たくさんの手指を使う活動を行うことがポイントとなってきます。
手指を動かすトレーニングとして、絵を描くことが大変効果的であることが分かっています。また、筆記具を使って絵を描くことは、将来の学校での書字学習に向けた準備にもなります。本書では、幼児期の手先の不器用な子どものためのトレーニングとして、たくさんの描画課題を掲載しました。是非、楽しく取り組んでみてください。
内容説明
気になる子もクラスのみんなも一緒に楽しく遊べます!保育者(大人)の言葉掛け(導入等)つき!2歳からのどの年齢の、どの時期からでもOK!
目次
解説レッスン1 絵を塗るについて(ひつじさんをふわふわにしてね;わたあめふわふわおいしそう ほか)
解説レッスン2 点をつなぐについて(おなじどうぶつさんをみつけてね;おなじどうぶつさんがしたにいるよ ほか)
解説レッスン3 線を引くについて(くるまにのっておじいちゃんのいえにおでかけ;たのしかったねおうちにかえるよ ほか)
解説レッスン4 点線をなぞるについて(すきなもののところまでいきたいな;あめをふらせておみずをあげよう ほか)
解説レッスン5 まねして描くについて(ちょうちょうがはなからはなへとんでいくね;いるかさんがじゃんぷしながらおよぐよ ほか)
著者等紹介
尾崎康子[オザキヤスコ]
東京経営短期大学こども教育学科教授(心理学博士)。東京教育大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。富山大学人間発達科学部教授、相模女子大学人間社会学部教授を経て、2018年より現職。専門は、臨床発達心理学、発達障害の子育て支援(臨床発達心理士、臨床心理士、公認心理師)
ガーボル,トート[ガーボル,トート] [Gabor,Toth]
相模女子大学学芸学部子ども教育学科教授(医学博士・教育学修士)。横浜市立大学大学院医学研究科博士課程修了。上智大学総合人間科学部心理学科、横浜市立大学医学部医学科、横浜国立大学教育学部非常勤講師、横浜市立大学大学院医学研究科客員教授を経て、2008年より現職。専門は、医学、音声言語医学、障害リハビリテーション、教育学、特別支援教育・保育、臨床発達心理学、発達障害の早期療育・子育て支援(臨床発達心理士、言語療法士)
竹井史[タケイヒトシ]
同志社女子大学現代社会学部現代こども学科教授(教育学修士)。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程(芸術専攻)満期退学。富山大学人間発達科学部教授、愛知教育大学教授及び附属名古屋小学校校長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。