内容説明
本書は、人口学研究会としては1966年以来32年ぶりの企画であるが、内容構成から明らかなように、その主な目的はマルサスその人の生涯や学説を解説したり、その片言隻句をあげつらうことにあるのではない。無論マルサス理論の正当な理解は必要であり、それが現代人口学の観点に立った場合どのような意味をもち、どのように評価されうるのか、この200年の間に諸科学のなかでどのように取り扱われ、またどのような批判にさらされて、変容を余儀なくされてきたのか、もしマルサスが現代に蘇って過去の2世紀を振り返ってみたとすれば、そのいわゆる歴史編をどのように書き改めるであろうか、マルサス人口論は現代の人口思想、人口理論、そして人口政策に対してどのような影響を与えてきたのか、さらにマルサス人口論とその変容を現代の分析用具を用いてどのように表現することができるか、そして将来の世界の人口動向を背景に、マルサス人口論は今後どのような運命をたどるのか、といった多角的な観点から分析し、再構成し、そしてその意義を評価、吟味することにある。終章を除けば、観察の範囲は『人口の原理』初版を起点とする200年であるが、実質的には多くの章で第二次大戦後の半世紀に重点が置かれた。
目次
第1章 人口学としてのマルサス
第2章 経済学におけるマルサス
第3章 社会学におけるマルサス
第4章 生物学におけるマルサス
第5章 先進国の人口に対する妨げ
第6章 開発途上国の人口に対する妨げ
第7章 マルサスと現代人口思想
第8章 マルサスと現代人口政策
第9章 マルサスと現代デモグラフィー
第10章 マルサスの数理モデル
第11章 21世紀のマルサス人口論
著者等紹介
岡田実[オカダミノル]
1929年東京都生まれ。中央大学経済学部教授。経済学博士
大淵寛[オオブチヒロシ]
1936年東京都生まれ。中央大学経済学部教授。経済学博士
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