内容説明
「独身制」の下に、司祭や修道女の性的欲望も支配するカトリック教会。信仰に生きることと湧き上がる性欲の葛藤に苦しみ、教会を離脱する者、教義に忠実であろうとする者。5人の聖職者の魂も砕ける苦悩を描く衝撃のノンフィクション・ノベル。
著者等紹介
トーマス,ゴードン[トーマス,ゴードン][Thomas,Gordon]
1933年生まれ。作家・ジャーナリスト。中東で育ち、英国で教育を受ける。情報・テロリズムを専門とする海外特派員として、スエズ動乱や、イラン・イラク戦争、天安門事件などを取材、のちに専業作家に転身する。時事、諜報、経済、医療、宗教など幅広いテーマをとりあげ、おもにノンフィクションを執筆、著作は40作に及ぶ
那波かおり[ナワカオリ]
1958年生まれ。上智大学文学部卒業。英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
48
【人がふたたび人生を生き直す物語】独身制のカトリック教会。聖職者5人の苦悩を描くノンフィクション・ノベル。1986年初版。2001年に加筆したものを2002年に翻訳。「アベラールとエロイーズ」を想いつつ――。<表向きに宗教的な禁欲者とされてきた人々が、性を語ることへの束縛を断ち切って真実を語り始めるとき、ローマ教皇庁がそれを無視すればするほどに、次々と新たな告白者があらわれてくる。そして、これは、この地球上で最も大きなキリスト教組織のみならず、キリスト教そのものにとっても、好ましからざることなのだ>と。⇒2025/04/12
ヴィクトリー
2
3人の修道士と2人の修道女の実体験に基づいた話。戦後のカトリック改革の中、彼らが性愛とその抑制の間でそれぞれ葛藤し、それぞれ解決、と言うより折り合いをつけていく様が描かれている。中でも解決に当ってカウンセラー的な人物が語る言葉が心に響くし、それを受けて再び前に進んでいく登場人物が清々しい。2012/04/21