出版社内容情報
帝政前期をテーマごとに解説。また、あまり触れられることのない東方の情勢についても随所で記述。
内容説明
「元老院による共和政」からカエサル主義およびアウグストゥスによる「帝国的君主政」が形成された。皇帝、首都ローマ、軍隊、属州行政など帝国の統治構造を概説、また人口や社会階層、経済の動向、地方都市についても論じている。帝国内部で発生した反乱ならびに外来部族からの進入問題についても言及。
目次
第1章 ローマ帝国またはローマの支配(ローマの世界支配;事実上の君主政)
第2章 「人が住んでいる世界」の統治(皇帝;首都ローマ;属州の行政)
第3章 八〇〇〇万人の住民(人口と社会;帝国―世界;何千という都市)
第4章 帝国の諸問題(ローマ化の問題;反乱の問題;外来部族の問題)
著者等紹介
北野徹[キタノトオル]
1938年生まれ。1962年東京大学法学部卒。1970~72年フランス留学(帝人株式会社より派遣)。TIS(株)取締役、日本ケーブル・アンド・ワイヤレスCSL(株)常務、TIS(株)監査役、(株)TIS東北ソフトウエアエンジニアリング社長を歴任。現在、(有)エクステリア総合研究所社長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かわかみ
3
ローマの帝国前期の歴史の叙述ではなく副題にあるように政治・社会の仕組みを詳説している。紀元前88年に終結した同盟市戦争の後で属州都市にローマ市民権が拡大されたことをもってローマは都市国家を脱したと日本では説明される。しかし、帝国前期はまだローマを中心とした都市国家の連合という性格であり、初代皇帝アウグストゥスも共和政の制度を利用しながら新たな君主制を創出したのだった。教養書ではあるが専門的な内容を含んでいる。2024/01/07
たかみりん
3
一応読み終わったのだけど、謎の挫折感…。どうしても日本語としてこなれない感があって、内容が頭にすっと入ってきませんでした; 訳註で参照している『古代ローマを知る事典』を先に読んでおいた方がいいと思われる。そのうち再読する。2013/01/18
わたる
2
帝政前期、ディオクレティアヌス以前を対象に、帝国の政治・社会の枠組みを概観したもの。皇帝の業績を順に追っていくような単純な通史ではない。歴史上の二項対立的な図式や一面的な見方を批判し、帝国の多様性・重層性・複雑性を解いている。遠回りな言い回しや誤字等もあったけど、教養書・研究入門書としては良さそう。考察は東方属州にまで及ぶ。中央だけでなく、周縁部や地方都市、外来部族のことも述べられている。参考文献・索引つき。2013/03/31