出版社内容情報
破格の世界文学
ラブレー、セルバンテス、スターンといったヨーロッパ文学の異形の系譜につらなり、シュレーゲルらドイツ・ロマン派の思考を刺激した後、現代においても『ブーローニュの森の貴婦人たち』のブレッソン、『ジャックとその主人』のクンデラといった芸術家たちを魅了しつづけてきた、ディドロ最晩年の傑作。フランス18世紀小説の白眉が、新たな訳でよみがえる。
うわべは「主人」とその従者「ジャック」のあてど知れない遍歴譚だ。旅する二人と出会う人びと、散りばめられたエロティックな小噺、首を突っ込む語り手らによる快活、怒涛の会話活劇が繰り広げられるが、とはいえその内実は、破天荒なストーリー展開、逸脱につぐ逸脱……主人はいつになったら、ジャックの恋の話を聞けるのか。「物語性」の決定的な欠如そのものが物語たりえていること、それこそがこの小説の身上だ。
運命論者――だとしても、人は誰しも筋書きのわからない、次の瞬間にはどちらに転ぶとも知れない曖昧な日常を生きている。ある意味ではこの酷薄きわまりない世界を、一片の悲哀を混じえることなくひたすら快活な笑いをもって描ききったこの傑作。装画はよしながふみ。
内容説明
「ひとは自分がどこへ行くのかなんてことを知ってるものでしょうか?」飛躍につぐ飛躍、逸脱につぐ逸脱。主人は聞けるか、ジャックの恋の話―旅する二人と出会う人びと、首を突っ込む語り手らによる快活、怒濤の会話活劇!
著者等紹介
ディドロ,ドニ[ディドロ,ドニ] [Diderot,Denis]
1713‐1784。フランス十八世紀の啓蒙の時代を代表する哲学者。『百科全書』の刊行に尽力したほか、自然学、演劇改革、美術批評、政治論、そしてフィクションの創作など、多様なジャンルでヨーロッパの思想・文化に巨大な足跡を残す
王寺賢太[オウジケンタ]
1970年生。東京大学大学院博士課程満期退学。博士(文学、パリ西大学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科准教授。フランス文学・思想専攻
田口卓臣[タグチタクミ]
1973年生。東京大学大学院博士課程満期退学。博士(文学、東京大学)。現在、中央大学文学部教授。フランス文学・思想専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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