出版社内容情報
エウリピデスのギリシャ悲劇を大胆に咀嚼! 主婦、獣人、乳牛の霊魂たちの合唱隊が猛烈に舞い踊る「会話劇」。『妖精の問題』を併録。第64回岸田國士戯曲賞受賞作品
内容説明
主婦、獣人、乳牛の霊魂たちの合唱隊が猛烈に歌い踊る「会話劇」。「露悪の先」をゆく圧倒的な傑作として選考委員から満腔の賞賛を浴びた表題作(第64回岸田國士戯曲賞受賞)に、女子中学生や妻や女性セミナー講師が「見えないもの」を浮かび上がらせてゆく三部作『妖精の問題』を併録。
著者等紹介
市原佐都子[イチハラサトコ]
1988年9月27日大阪府生まれ。福岡県北九州市育ち。桜美林大学卒業。主要作品『虫』(第11回AAF戯曲賞受賞)『バッコスの信女―ホルスタインの雌』(第64回岸田國士戯曲賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pinoko
4
吐き気がするほど身体は拒絶するのに、本能は才能を求める。私はこの先も、市原佐都子さんのつくるものから逃れられない。2021/03/13
二瓶くん
2
やはり市原佐都子はとんでもない。すべてのタブーを徹底的に行った上で、作品の受け手側の倫理観を破壊してくる。マスプロダクションへの反省もあるし、オノマトペではあるがもうぐにゃぐにゃになっている言語感覚も良い。前編のバッコスの信女の方は、全体として男性嫌悪っていうか、そんな書き手の感覚が強く伝わってきた。だからこそ女性がレズビアンに目覚める流れが非常にリズミカルだったし、旦那との関係も踏まえると納得できた。でも女と女の間を邪魔するのは男なんだよなぁと。2024/12/15
ミキ
2
2024-105:第64回岸田國士戯曲賞受賞作。なんかよく分からなかった。2024/09/15
ゆきな
2
人間は三大欲求にあわせて倫理観や道徳観も持っているからややこしくて、生物学的に2つしかない性をどちらかに分けることへの違和感は自分も感じているけどそれは自分が女だから、日本人だから?だからといって選択肢の増える世の中もなんだか薄っぺらくて、そう突きながら人間の根底とは何なのかと問われていると思った。2021/07/03
MaRuTaTSu
1
バッコスの信女ーホルスタインの雌 「やっぱりニンゲンって抑圧が必要なんじゃないかなって ベース抑圧がいんしゃないかって 毎食肉だと 肉の喜び わからなくなると思うんです ベース野菜だからたまの肉がありがたい 全部そうだと思うんです (…) まずベースかあってのことだと思うんですね ずっと欲望欲望欲望 欲望に忠実だと ニンゲン滅びていると思うんですね その逆もしかりですよね ずっと抑圧抑圧抑圧 抑圧ばかりでも それでもニンゲン滅びると思うんです」(プロロゴス,12~13頁)2022/02/04