エクス・リブリス<br> 別れを告げない

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エクス・リブリス
別れを告げない

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  • サイズ 46判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560090916
  • NDC分類 929.13
  • Cコード C0097

出版社内容情報

済州島4.3事件を背景に、いま生きる力を取り戻そうとする女性の友人同士の再生の物語。待望の最新長篇。韓国で発売後1か月で10万部突破!

内容説明

作家のキョンハ(「私」)は2014年の夏、虐殺に関する本を出してから、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。何度も脳裏に浮かぶ黒い木々の光景がずっと気がかりで、よい場所に丸木を植えることを思い立つ。ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、それを短編映画にすると約束して4年が過ぎた。一人っ子のインソンは、認知症の母親の介護のため、8年前に済州島の村の家に帰り、4年間母親を看病して看取った。キョンハがこの夢の話をインソンにしたのは母親の葬儀の時だった。インソンはその後も済州島の家にとどまることに。キョンハはその間に家族や職を失い、ソウル近郊の古いマンションに引っ越してきた。心身は疲弊し、遺書も何度か書いた。その年の12月、キョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメールが届く。インソンは病院にいた。木工作業中に指を切断してしまい、苦痛のとぎれることがない治療を受けているところだった。インソンはキョンハに、済州島の家に今すぐ行って、残してきた鳥を助けてほしいと頼む。大雪の中、キョンハは、済州島のインソンの家に何とかたどりつく。4・3事件を生き延びたインソンの母親が、夢でうなされないように布団の下に糸鋸を敷いて寝ていた部屋にも入る。夢とも現実ともつかない中でインソンがあらわれ、鳥を仲立ちにして静かに語り合う。そこで初めてキョンハはインソンがこの4年間ここで何をし、何を考えていたかを知る。認知症が進んだ母親の壮絶な介護、そして、母親が命ある限りあきらめず追い求めた真実への執念も…。韓国人として初のメディシス賞受賞作。

著者等紹介

ハンガン[ハンガン]
1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒業。1993年、季刊「文学と社会」に詩を発表し、翌年ソウル新聞の新春文芸に短篇小説「赤い碇」が当選し作家としてデビューする。2005年、三つの中篇小説をまとめた『菜食主義者』で韓国最高峰の文学賞である李箱文学賞を受賞、同作で2016年にアジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞する

斎藤真理子[サイトウマリコ]
翻訳家。パク・ミンギュ『カステラ』(共訳)で第一回日本翻訳大賞、チョ・ナムジュ他『ヒョンナムオッパへ』で“韓国文学翻訳院”翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Sato19601027

161
知らないことは、恐ろしい。第二次大戦後の1948年4月3日、南側だけでの単独選挙に反対した済州島の島民が、本土から送られてきた軍・警察・極右団体により、虐殺されてしまう。この4.3事件の被虐殺者の遺骨収拾と発掘に生涯を捧げた女性・インソンの母親の物語を、現在の韓国に暮らす二人の女性(キョンハとインソン)の結びつきの中から、炙り出す。家族を失ったインソンの母親は、行方不明となった兄を探すため、遺骨収拾活動に参加していく。母親が亡くなった後、この思いはインソンに引き継がれる。(2024年ノーベル文学賞受賞)2024/10/20

道楽モン

134
渾身の「訳者あとがき」から目を通して欲しい。「済州島四・三」という朝鮮における歴史的愚行(自国民によるジェノサイド)に関する基礎知識と時代背景を頭の片隅に設置すること。そして本編を読む。全世界を白く覆うかのような雪、雪、雪の執拗な描写は、生きる希望を失いつつある現実社会の絶望の象徴である。美しい文章の連なりに幻惑されつつ第二部以降、怒涛の地獄図、暴力装置と化した国家と正義をまとった愛国者による理不尽な大量殺人の描写に突入。最期には近親者の過ごした歴史を背に、女友達の愛と再生の物語となる。衝撃的な大傑作。 2024/06/28

R

133
人間の根底に必ず潜む闇ともいうべきものが顕現した歴史に目を向けた小説。一種活動家の行動そのものと思うような、強い信念を感じながら読んだ。韓国で起きた白色テロの歴史について描き出し、事件を忘れないという意味における「別れを告げない」という意思表明が、この物語を愛としているのだそうで、作者にとてつもない強さを感じた。幻想小説のような雰囲気もあるが、描こうとしたものは事件の中にあっただろう思念や存念という形なきもので、それを忘れないと刻む鋭さを覚えた。2025/04/01

アキ

115
「韓国文学の中心にあるもの」で、本書が済州島の四・三事件にまつわる内容だとは知っていたが、とても重い内容を幻想的な雪の描写と夢と現実が混在した詩のような文章で、インソンとキョンハのやりとりだけの小説でした。斉藤真理子の解説で、1948年の事変だけでなく、その前後の7年に渡る虐殺を含めて四・三事件と呼び、現在もレッド・コンプレックスと言われていることを知った。この事件を契機に日本へ渡り、在日コリアンになった人たちも多い。著者ハン・ガンは、2005年「菜食主義者」でデビューし、昨年ノーベル文学賞を受賞した。2025/04/15

sayan

109
自分は残念な読者だ。読了後、語られなさの余白に苛立ちを覚えるからだ。「どの顔にも昨日降った雪がうっすら積もったまま凍っていて」という静謐な描写がある。死者は語れず、生者はその沈黙を前に立ち尽くす。四・三事件の構造こそが「語れるもの/語れないもの」の断絶を示す。その断絶にとどまり応答できない自分は語りに反応できない読者だ。仏語訳Impossibles adieux(不可能な別れ)は、まさにそれを示す。別れを告げようにも応答はなく読み終えても苛立ちだけが残る。この消化不良も「別れの不可能さ」体験かもしれない。2025/02/11

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