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出版社内容情報
若き妻を失った父ミシェル、彼が心を寄せた女性の存在。時代は戦争へと突入し、一族の物語はついに〈私〉という存在へと辿り着く。
北米メイン州の島で半世紀近く過ごし、パリの文壇とは無縁に生きた孤高の作家ユルスナール。「現代に迷い込んだ古典作家」とも評される彼女自身について、われわれは決して多くを知っているとはいえない。
本書は、じつに二十年という歳月を費やして、はるか両親の先祖にまで遡りながら〈私〉という存在の謎に迫った、まさに著者のライフワークと呼ぶべき自伝的三部作〈世界の迷路〉の最終巻である。前二作では、感傷を排した透徹した筆により、歴史小説さながらに〈母〉の物語、〈父〉の物語を描いたユルスナールが、本書ではようやく〈私〉の記憶へと降り立つ。しかし、相変わらず自らを語る著者の態度は慎ましい。自身について決して直截に語ることのなかったユルスナールは、遺作となった本書においてもまた、最愛の父を、そして父が愛情を傾けたひとを語る「交感の魔術」によって、〈私〉を逆照射する。また語られるのは青春期までであるが、さりげなく挿入されたエピソードには、小説や著者自身に関する重要な鍵が豊富に隠されている。訳者堀江敏幸の「交感の魔術」にも耽溺されたい。
単調な日々
降霊術師
軽いお世辞
黄金の三脚
裂け目
忠誠
幼年時代のかけら
愛のかけら
揺れ動く大地――一九一四-一九一五
揺れ動く大地――一九一六―一九一八
錯綜した小径
マルグリット・ユルスナール略年譜
訳者あとがき
【著者紹介】
1903年ベルギーのブリュッセルで、フランス貴族の末裔である父とベルギー名門出身の母との間に生まれる。本名マルグリット・ド・クレイヤンクール。生後まもなく母を失い、博識な父の指導のもと、もっぱら個人教授によって深い古典の素養を身につける。1939年、第二次世界大戦を機にアメリカに渡る。51年にフランスで発表した『ハドリアヌス帝の回想』で、内外の批評家の絶賛をうけ国際的な名声を得た。68年、『黒の過程』でフェミナ賞受賞。80年、女性初のアカデミー・フランセーズ会員となる。晩年の集大成である、母・父・私をめぐる自伝的三部作〈世界の迷路〉――『追悼のしおり』(1974)、『北の古文書』(1977)、本書『なにが? 永遠が』(1988)――は、著者のライフワークとなった。主な著書は他に『東方綺譚』(1938)『三島あるいは空虚のビジョン』(1981)など。87年、アメリカ・メイン州のマウント・デザート島にて死去。
内容説明
若き妻を失った父ミシェル、彼が心を寄せた女性の存在。時代は戦争へと突入し、一族の物語はついに“私”という存在へと辿り着く。母・父・私をめぐる自伝的三部作、第三巻。
著者等紹介
ユルスナール,マルグリット[ユルスナール,マルグリット] [Yourcenar,Marguerite]
1903年ベルギーのブリュッセルで、フランス貴族の末裔である父とベルギー名門出身の母との間に生まれる。本名マルグリット・ド・クレイヤンクール。1939年、第二次世界大戦を機にアメリカに渡る。51年にフランスで発表した『ハドリアヌス帝の回想』で、内外の批評家の絶賛をうけ国際的な名声を得た。68年、『黒の過程』でフェミナ賞受賞。80年、女性初のアカデミー・フランセーズ会員となる。87年、アメリカ・メイン州のマウント・デザート島にて死去
堀江敏幸[ホリエトシユキ]
1964年生まれ。作家、フランス文学者。早稲田大学第一文学部卒。現在、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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