内容説明
〈学会狂〉の謎の美女を追い求めて世界各地を遍歴する若き大学講師のひたむきな恋をコミカルに描きながら,学界と国際的に活躍する大学人たちの生態を痛烈に諷刺した滑稽小説の最高傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeakisky
1
あれから10年。50。40と50の間にあるもの。前作は近い過去を想い、今作は現在を沁みじみ噛み締める読書。モリスは感じのいい感じの悪さを洗練させ、スワローは現実の世界を泳ぐ業が多少巧みになったか。成熟としか呼びようのないもの。そして彼らに出会うことをこんなに嬉しく思う自分に、少し驚く。彼ら同様、小説も深みと複雑さを増す。ただのコミックノヴェルとは括れない哀愁。ますます冴える脇役たちの描かれ方。若々しい笑いは好青年マグリガルの担当。ついでに我が邦も登場。全てに於いて非常に満足。2024/04/03