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ゼーバルト・コレクション
カンポ・サント

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  • サイズ B6判/ページ数 204,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560027332
  • NDC分類 944
  • Cコード C0097

出版社内容情報

遺稿となった表題作など四編の散文ほか、グラス、ナボコフ、カフカら、作家が愛した文人についてのエッセイを収録。歴史意識と文学への姿勢が明確なアンソロジー。 解説=池澤夏樹

内容説明

コルシカ島をめぐる未完の作成、カフカ、ナボコフなど作家が愛した文人についてのエッセイ・批評を収録。

目次

散文(アジャクシオ短訪;聖苑;海上のアルプス;かつての学舎の庭)
エッセイ(異質・統合・危機―ペーター・ハントケの戯曲『カスパー』;歴史と博物誌のあいだ―壊滅の文学的描写について;哀悼の構築―ギュンター・グラスとヴォルフガング・ヒルデスハイマー;小兎の子、ちい兎―詩人エルンスト・ヘルベックのトーテム動物;スイス経由、女郎屋へ―カフカの旅日記によせて ほか)

著者等紹介

ゼーバルト,W.G.[ゼーバルト,W.G.][Sebald,W.G.]
1944年、ドイツ・アルゴイ地方ヴェルタッハ生まれ。フライブルク大学、マンチェスター大学などでドイツ文学を修めた後、各地で教鞭をとった。やがてイギリスを定住の地とし、70年にイースト・アングリア大学の講師、88年にドイツ近現代文学の教授となった。散文作品『目眩まし』(90年)、『移民たち四つの長い物語』(92年)、『土星の環イギリス行脚』(95年)を発表し、ベルリン文学賞、ハイネ賞など数多くの賞に輝いた。遺作となった散文作品『アウステルリッツ』(01年)も、全米批評家協会賞、ブレーメン文学賞を受賞し、将来のノーベル文学賞候補と目された。2001年、住まいのあるイギリス・ノリッジで自動車事故に遭い、他界した

鈴木仁子[スズキヒトコ]
1956年生まれ。名古屋大学大学院博士課程前期中退。椙山女学園大学准教授。翻訳家。主要訳書にゼーバルト「アウステルリッツ」(レッシング翻訳賞受賞)(白水社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおた

34
ゼーバルトの散文を死後に集めた1冊。旅を続けた著者の生まれ故郷での音楽にまつわる記憶が特に印象的で、厳しく過ちを正されて楽器をやめてしまったり、パイプオルガンを弾く司祭の表情を覚えていたりするところが、観察力から文章をなしえる豊かさが感じられる。GoogleMap片手に再読したい。文学に関するエッセイも多く、ナボコフと霊の関係についてはもっと書いてほしかったし、ナボコフ再読しようと決意。父や弟を暴力で亡くしたナボコフの抱えた(自分に責任がないとはいえ)罪悪感をわたしも読み取れるか。2021/01/24

Tonex

22
エッセイと批評。著者の死後に編まれたアンソロジー。タイトルの「カンポ・サント(聖苑)」とはイタリア語で「聖なる場所」=「墓地」のこと。本書に収録されたエッセイの一つにつけられたタイトルだが、この本自体が墓地のような場所という暗喩か。/破壊・哀悼・想起。/解説=池澤夏樹。▼流し読み。/コルシカ島、ナポレオン、カスパー・ハウザー、フランツ・カフカ、ウラジーミル・ナボコフ、ヴィム・ヴェンダース、クラウス・キンスキー。2016/03/02

春ドーナツ

19
表題作はイタリア語で「聖苑」と訳語されている。コルシカの墓地に纏わる散文だ。*「硬い、魚雷じみた体は、発達が過ぎて小回りのきかない筋組織を特徴としていて、そのためひたすらまっすぐ前へと押し進む。休憩はほぼ不可能であり、どこを目指すにしろ、大きな弧を描いてしか進めない」(152頁)*なけなしの本を慎重に捲っていると、彼はナボコフの一番美しい文章を教えてくれる。本当に美しくて、幼い少年に倣ってカウンター席から顔を上げると、窓の向こうでゼーバルトがはにかみながら宙に浮いていた。どんどん高度を増して青空に消えた。2018/10/19

多聞

17
コルシカ島を舞台とした散文作品、カフカやナボコフ、チャトウィンなどについてのエッセイや評論などが収録された作品集。作家について語ったエッセイからはゼーバルトの彼らへの深い愛情がうかがえる。死は平等でなおかつ理不尽であることは十分理解しているが、ゼーバルトの死には未だに納得がいかない。できそうにもない。「コルシカ・プロジェクト」や健在なら新たに語られたであろう散文やエッセイ、評論を読むことができればどれだけ至福の瞬間を実感できたのだろうか?2013/02/13

きゅー

16
4つの散文と12のエッセイが収録。散文といっても、彼の小説が散文的であるのと同程度に小説的であり、このコルシカを題材とした4つの小品でも「人生の計り知れぬ不幸のすべて」に向きあう彼の姿は塗り込められた灰色の背景の奥へと、私たちに背を向けてひとり歩み去っていくような印象を与える。ナポレオンへの追憶であったり、今はなき木々繁る自然であったり、彼はここでも過去を、独特の陰鬱な様子で語りかける。世界は炎を吹き上げて燃えている。そして残されるのは、幾つもの死骸と、黒く焼け焦げた木々や、石や、土。2012/07/01

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