出版社内容情報
内気な高校生カフカの思春期の情景を描く表題作、梯子を天高く伸ばす熱に浮かされる町を描く一篇など、職人技が光る不可思議な9篇。
【目次】
内容説明
もしもあのカフカがアメリカの普通の高校生だったら―内気な青年カフカの思春期の日常の情景を描く表題作。町中がこぞって梯子を天高く伸ばす熱に浮かされる狂乱を描く「梯子たちの夏」。カスタマーサービスのマニュアル的対応に鬱憤を募らせていく痛快作「お電話ありがとうございます」など、短篇の魔術師が繊細かつ大胆な描写と独自の奇想で繰り広げる、ちょっぴり懐かしくて不可思議な9つの異世界。
著者等紹介
柴田元幸[シバタモトユキ]
翻訳家。アメリカ文学研究者。主要訳書『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会、サントリー学芸賞受賞)ほか。文芸誌『MONKEY』(スイッチ・パブリッシング)責任編集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
69
ミルハウザーの鋭い風刺が最高到達点だと思った件。人は忘れる。住民投票の結果、ギロチンに。シャルル・アンリ・サンソンの時代に逆行し犯罪抑止のため公開で行われる。禁止されても無理だな。スマホで隠し撮り、YouTubeにもアップされ。町は賛成派と反対派で分断されるも夏が終わる頃には抗議行動も下火に。玩具メーカーが悪趣味な子供用ギロチンを発売するなど、社会への悪影響も見受けられ賛成派の中にも後悔が。犯罪抑止につながったのかどうかは定かでなく、時を経てギロチンがある光景はマックやスタバがそこにあるのと変わらない。2025/12/22
seacalf
42
久しぶりのミルハウザー。相変わらずやたらと精緻な描写で日常からいつのまにか奇妙な、ひどく奇妙な非日常の世界へいざなわれ、よくもまあこんな事を思いつくものだという驚嘆すべき物語に没入させてくれる。冒頭の「お電話ありがとうございます」からミルハウザー節が炸裂。表題作もとても良かったが、『ありふれた苦境』はその最たるもの。柴田さんの翻訳がミルハウザーの持ち味の解像度をさらに上げてくれている気がする。読書の愉しみ、ここにあり。たっぷり堪能させて貰った。読み忘れていた『夜の声』も『幽霊屋敷物語』も本当に楽しみだ。2026/03/10
セロリ
34
9編の短編集。表題作『高校のカフカ、一九五九』が一番面白かった。なぜか『ノルウェイの森』のワタナベを思い出した。カフカが綴る自分のこと。同級生の女の子ボニーへの淡い想い。「ねえ君さ」と話しかけた後、言葉が続かないカフカ。そのときの彼の内心は、強い自意識に縛られる青年の頃のそれだ。途中で同級生の回想が挟み込まれ、カフカが有名人になったのかと想像する。もちろんそんな記述はないので、あくまでも想像だ。他短編も想像力を掻き立てられる設定ばかり。ギロチン処刑台が設置された街の人々の様子は、リアリティがあると感じた。2026/02/20
Y2K☮
34
表題作が気になって購入。「影劇場」のみ既視感あり。調べたら「MONKEY」30号に掲載されたのを読んでいた。「斬首刑のあとで」と「梯子たちの夏」に託された何かは、おそらく自分で感じる以上に切実で他人事ではない。ただやっぱり表題作がすべてを持っていった。毎度のことながら、どこまでが実態の落とし込みでどこからが想像の産物なのか気になる。おかげで次に収録されている「ある夏の夜」もカフカの話だと勘違いし、途中まで違和感を覚えまくりだった。何人かの書き手が己の考えるカフカを主人公に据えたアンソロジーを読んでみたい。2026/02/14
くさてる
25
安定のミルハウザーの短編集。こんなに分かりにくいはずなのにこんなに染み入るように良いってのがありなんだなあと思った。この一作、と選ぼうとして、最初の「お電話ありがとうございます」から順番に全部選んでしまった。でもやっぱり技巧と詩情がちょうどいいバランスの「お電話……」がいちばん好きだ。おすすめです。2026/03/04
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