著者等紹介
依田恭司郎[ヨダキョウシロウ]
1953年2月14日東京生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。六本木アートセンタースタジオでスタジオ・アシスタントとして働く。二階堂嗣郎氏/富永民生氏のフォトグラファー・アシスタントを経て、1978年に独立。以後34年間フリーランス・フォトグラファーとして、ポートレイト、CDジャケット、ファッション、雑誌取材、コマーシャル撮影など、さまざまな仕事に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
296
この巻は野菜農家の若梅健司氏の登場。九十九里浜に近い千葉県横芝光町で、2月から6月までメロン栽培、7月から翌年1月までトマト栽培を営んでいる。もちろん、この人の持論では百姓は百品作るということで、これ以外にも様々なものを栽培している。トマトにかける情熱、観察力、持続性、研究熱心さのいずれをとっても常人にはおいそれとは真似のできないレベルである。しかも、「農業日誌」に克明な記録を残し、新たな発見を期すというのであるから、もはやスーパー農業人である。なによりも、一つ一つの作業が綿密であり、それで終わらない。2024/02/05
Kawai Hideki
91
千葉県で江戸時代から農家を営むトマト農家の若梅さんに取材。農業には「科学的なカン」が必要だと、トマトの苗は買わずに種から育て、事細かに記録をつけ、学者の言うことを鵜呑みにせず自分で実験し、毎日トマトの様子を見ながらトマトと対話する。元祖ビッグデータ農業だ。本書の名言「植物には自分で生きようとする力がある。それをうまく引き出してやると、しっかりしたいい樹に育つ。だから定植後は水をやらない。土の表面は乾いていても、土の中には水があるから自分で根をのばして、その水を利用できるようにすることがだいじなんだ」2016/04/03
さきん
30
よりによって日本最高峰クラスの篤農家の若梅さんを贅沢に取り上げている。ぶっ倒し栽培で1月過ぎまで収穫するなど、特殊なところはあるが、毎日記録をつける、観察して対策を実行するの積み重ね延長線上に常識に捕らわれない神の一手がある。コメはもうからないが、農家、百姓としてやめるわけにいかないという言葉はぐっとくる。農家日記どういう風に使っているのか中身みてみたい。トマトの写真がとても良い。ほとんど傷がなく大きさも揃っている。会ってみたい農家。2022/07/22
毒兎真暗ミサ【副長】
27
若梅さんという農家の方が、トマトのハウス栽培の秘訣を教えてくれる。春はメロンね、秋はトマトね。売るのじゃなくて、僕は食べるだけでいいので概要だけメモメモ。植えたら水はやらない。自力で根を張らすため。寒かったら横に倒す。大きくなるよ。トマトと真剣に向き合うから、出荷の時の笑顔が眩しい。若梅さん、男前だなぁ。2024/03/17
みーなんきー
26
九十九里の農家若梅さんを取材。瓜科のメロンとナス科のトマトを、交互に育て輪作障害を克服し、苗からでなく種から自分で育てることで苗を鍛える。水枯れした苗に水をやる代わりに、更に深い地面に水を十分与えておき、苗が自分からそこへ到達する力をつけさせる。猛暑の夏にも植物に直に水をあげず畝に水を通し、気温を下げるだけにする。などなど作物の力を信じて強くする努力を怠らない。このシリーズには、農作物への愛があふれた人が登場するので、その熱意が心を打つ。2016/05/02