出版社内容情報
「独自の言語と文化があれば誇りをもって民族と言える」、アイヌの復権と文化の復興にかけた生涯を、妻が280余枚の写真で回想
内容説明
アイヌ文化は現在も生き続けている。そのことを世界の人びとに知らせ、次の世代に伝承することが自分の役割である、というのが萱野茂の人生をつらぬく主題であった。アイヌの物質文化については、自分で伝統的な民具を制作し、収集して、資料館を開設する。精神文化では、言語や物語を記録し、アイヌ語の放送局を開設した。民族文化をみずから体得し、民族としての誇りを確信したうえで、世界の先住民との連帯をふかめ、国政の場で発言した、実践する民族学者の生涯を語る。
目次
夫・茂と五五年―まえがきにかえて
二風谷で暮らす
アイヌ文化の教え
映像で記録する
心を結ぶ資料館
一期の国会議員
先住民族アイヌ
文化交流の旅
未来に伝える
著者等紹介
萱野れい子[カヤノレイコ]
昭和6年(1931)父母の仕事先の北海道奥尻村に生まれたが、幼少から二風谷で暮らす。昭和46年3月1日日胆地区ウタリ民芸制作技術コンクール大会織物の部で第2位入賞。昭和60年3月20日職業訓練指導員免許(織布科)取得。平成16年11月3日平取町文化功労賞受賞。3人の子を育てながら、各地の大学や博物館などから依頼されたアイヌ民具を協力して作るなど、萱野茂の公私にわたる仕事を支えてきた。製作技術のわからなくなっていたものを、研究して復元した民具もいくつかある。平成19年8月から、アイヌ文化実践上級講座の講師として、二風谷の生活館で月3回、アイヌの着物の縫い方を教えている。特に刺繍を入れるアイヌの着物やあつし織、トマ(茣蓙)編みなどを得意とする
須藤功[ストウイサオ]
昭和13年(1938)秋田県横手市生まれ。民俗学写真家。民俗学者・宮本常一に師事し、国内を旅して庶民の生活を写真で記録する。北海道平取町二風谷には、昭和46年(1971)4月を最初に6回ほど行き、萱野茂の指導のもとにアイヌ文化を写真で記録する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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