内容説明
突然いなくなった妻を捜して旅に出た雄鶏。彼女との想い出を辿りながら“今”を生きるニワトリが見た東日本の風景―。異才が描く“東北のいま”のスケッチ。
目次
東日本大震災について
5ヶ月後の釜石・大槌
半年後の山元・塩竃・松島
9ヶ月後の気仙沼・陸前高田
11ヶ月後の八戸
1年後の東京都
1年1ヶ月後の猪苗代
1年4ヶ月後の遠野・大船渡
1年4ヶ月後の釜石
1年半後の南三陸・石巻・仙台〔ほか〕
著者等紹介
こうの史代[コウノフミヨ]
1968年生まれ。広島県出身。代表作『夕凪の街 桜の国』(双葉社)で第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
165
東日本大震災後の被災地と東京を、雄鶏がいなくなった妻を探し旅する。それをこうの史代氏が被災地を淡々と描いてゆく。こうの史代氏の暖かい画が、被災地の現状を教えてくれる。この作品は震災の記憶が風化しないよう沢山の人に手にとって欲しい。私の住む福島県も描いてもらってます。猪苗代、いわき、楢葉、広野、郡山、本宮。これから復興を果たすことが、支援して頂いた方々への恩返しであり、これからの子供達への私達の義務だと思う。こうの史代氏の淡々としつつ胸に残る描写、そして少しずつ復興していく被災地が希望を与えてくれる。2015/07/19
シブ吉
101
「はじめまして わたくしは 妻を探してここへ来た」2011年8月の岩手県釜石市。その街の一角の、三角コーンの上に立つ雄鶏。東日本大震災の被災地を辿りながら、その地のスケッチと、妻を探す雄鶏の旅の始まりだった。見知った場所が登場する本書は、スケッチ当時の景色から既に変わった場所も。「元は何が有ったのか」段々と思い出せなくなってきている自分に、記憶の風化を痛感する。雄鶏の旅に合わせた景色と、添えられた言葉。やわらかなイラストで残された風景の一枚を見ながら「記憶を残してくれて有難う」シミジミそう思います。2014/09/13
あきぽん
95
「この世界の片隅に」で戦時中の生活のディーテルとドラマを描いた作者が、東日本大震災の爪痕の風景を淡々とスケッチした作品。ストーリー性が非常に薄いので、正直言って読みづらく面白くないと思いながら我慢して読んでいたら、そのうちじっくり、じんわりと効いてきた。人災である戦争を描いたら「この世界の片隅に」になり、天災である震災を描いたらこうなるのだろうか。東電以外、怒りの持って行き場のない災難。しかし戦争と同様、それでも生活は続いていく。もう東京では、震災など遠い昔のようになっているが…。2018/04/04
美登利
95
図書館員さんおすすめ本。こうのさんの「夕凪の街 桜の国」はまだ読メに登録するかなり前にノベライズ本を読んだので、初読み作家さん。この本は東日本大震災5ヶ月から二年半後、東北各地を雄鶏が突然居なくなった妻を探す旅を一枚のスケッチにしたもの。ボールペンでの柔らかい画風の中に、雄鶏の言葉とまだ復興には遠い各地の風景が相まって切なさを感じますが、時折ユーモラスな雄鶏のセリフが何とも和みます。特に雄鶏の本日の食事が、涙ぐましくそれでいて逞しく。著者の体験も書いてあり、各地の被害の状況が細かく数字で表されています。2016/03/25
馨
90
東日本大震災を妻を探して旅する雄鶏の目線から描いています。最初は、フェリーの座礁の絵や松の木などニュースで見られた景色が続きます。だんだんと震災に負けないで頑張っている光景になっていき…。改めて、震災、被災者の思いを忘れてはいけないと考えさせられました。2014/11/17