内容説明
一般の人にも許された「一斤染」、紫の上も着ていた「山吹色」、歌舞伎の定式幕に使われる「萌黄」、縁起のよさに好まれた「千歳茶」。日本人の美意識が詰まった173色。
目次
1章 赤系の伝統色
2章 黄・橙系の伝統色
3章 青系の伝統色
4章 緑系の伝統色
5章 紫系の伝統色
6章 茶系の伝統色
7章 黒・白系の伝統色
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リキヨシオ
38
・熱い情熱を表す「緋色」・可憐な風情が込められた「撫子色」など同じ赤系の色でも様々な異なる意味を持った日本の伝統色173色を紹介する1冊。本書では、赤系、黄・橙系、青系、緑系、紫系、茶系、黒・白系に分類、暮らしの中にある豊かで美しい色の世界を堪能できる。しかしどんだけ見比べても「鉄紺色」と「茄子紺色」「留紺色」と「褐色」「水色」と「空色」「琥珀色」と「黄土色」など見分けがつかない…様々な伝統色を知る事ができた喜びと同時に自分の色彩感覚の乏しさも痛感。もっと意識して日常の色を見ていく必要があると思った。2016/10/31
うめ
38
古来から日本人がいかに繊細な感性で自然を見つめてきたかが分かる。いまの私の感性だと、淡い色味が好きだし、世間でも淡い色=安っぽい、なんてイメージは無いけれど。色を出すための過程を思うと濃い色味が高貴で格調高い理由が分かる。色の名前がどれも美しく、色も美しい。私も色に重ねて、万葉の和歌やら、近代の俳句やら、口にできるだけの教養が欲しい(笑)2016/05/24
かわうそ
35
再読2016/12/09
5 よういち
27
日本の伝統色は全部で465色とも540色とも、また同名異色まで合わせると1300色を超えるとも云われているようだ。それほどまで日本人は色に対して繊細で豊かな感覚をもっていたのだろう。そんな伝統色の中から代表的な173色を色見本と豊富な写真を添えて、その色にまつわるエピソードを紹介している。小説の中にも色々な色名が登場する。そんな時に、サッと引いてイメージできるのが素晴らしい。できれば色名索引が欲しかった。いつか人前で、「あの色はね、鶸萌黄という色でね・・・」なんてことをのたまってみたいものだ(笑)。2016/05/08
さゆき
21
色の名前は、西洋の綺麗な名前もあるけれど、和名(漢字)の名前は風流な趣があります。写真も素敵でしたし、昔の人の色への思い、ネーミングセンスも感じました。禁色と庶民が作り出した色を、現代人の私はとても見分けられないと思いますが、自然の中からこれだけの色が生み出されていたことが素晴らしいと思いました。色の世界の楽しさを感じる読書でした。2018/09/30