出版社内容情報
2020年初頭に突如世界を襲った新型コロナ・パンデミックから抜け出すため、新たに開発されたワクチン。
日本では、2021年4月頃から本格的に接種が始まった。
人々は、この「未知のウイルス」に対抗するために「未知の技術」で開発された「未知のワクチン」を、どのように受け止め、接種するか否かを決め、実際に行動したのだろうか?
長きにわたるパンデミックの中で、新型コロナウイルスは変異を繰り返し、ワクチンの効能に関する情報もたびたび変化した。この極めて不確実な状況下で、研究者として、あるいは政策現場に参加する有識者として、著者たちは、「行動経済学」を武器に未知のウイルス・未知のワクチンと対峙し、接種を進めるためのナッジ・メッセージを開発し、接種が進む中での政策のあり方を提案し、接種者・非接種者の分断など社会への影響を考え続けてきた。
そんな著者たちが、当時の想い、経験、そして調査・研究における苦労と創意工夫を振り返りながら、将来起こりうる新たなパンデミックへの対策として何が必要か、私たちは何をすべきかを問い直す。
行動経済学、感染症学などの知見をわかりやすく解説しつつ、新型コロナ危機の教訓を活かし、ネクスト・パンデミックに備えて今から動き出すための指針を、臨場感あふれる筆致で描く。
内容説明
行動経済学者と感染症学者がチームを組み、パンデミック下の「未知のワクチン」に挑んだ。コロナ危機の政策現場に寄り添いながら、試行錯誤をくりかえす。…あなたにとって「あのワクチン接種」とは何だったのか?
目次
第1部 「未知のワクチン」にどう向き合うか?(「未知のワクチン」に向き合うための基本道具)
第2部 「未知のワクチン」の接種開始前夜(「接種を受けるつもり」を測定する意義~たかが意向、されど意向~;自律性を阻害せずに接種意向を高めるナッジ・メッセージの探究)
第3部 「未知のワクチン」の接種はじまる(接種意向は水物か?~実際の行動とのギャップ~;ナッジは実際の行動も促すのか?~フィールド実験による挑戦~;ワクチン接種の意外な効果)
第4部 ワクチン普及後の世界~「未知」から「既知」へ~(ブースター接種にナッジは必要か?;ワクチン接種者と非接種者の分断と共生)
第5部 ネクスト・パンデミックのために「行動経済学+感染症学」ができること(将来のパンデミックに向けた10の政策研究アジェンダ;政策研究アジェンダの「実現可能性」を議論する)
著者等紹介
佐々木周作[ササキシュウサク]
大阪大学・感染症総合教育研究拠点・特任准教授。1984年生まれ。大阪大学にて博士号(経済学)を取得。専門は、行動経済学、実験経済学。行動経済学会の副会長とともに、中央府省庁や地方自治体のナッジ・ユニット等で有識者委員やアドバイザーを務める。三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)行員、京都大学大学院経済学研究科特定講師、東北学院大学経済学部准教授等を経て、2022年より現職
大竹文雄[オオタケフミオ]
大阪大学・感染症総合教育研究拠点・特任教授。1961年生まれ。大阪大学にて博士号(経済学)を取得。専門は、行動経済学、労働経済学。新型コロナ・パンデミックでは、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会、基本的対処方針分科会等に参加した。著書『日本の不平等』(日本経済新聞社、2005年)ではサントリー学芸賞、日経・経済図書文化賞、エコノミスト賞を受賞。2006年に日本経済学会石川賞、2008年に日本学士院賞を受賞。大阪大学社会経済研究所教授、同大学大学院経済学研究科教授等を経て、2021年より現職
齋藤智也[サイトウトモヤ]
国立感染症研究所・感染症危機管理研究センター・センター長。1975年生まれ。公衆衛生学修士(ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院)、医学博士(慶應義塾大学大学院医学研究科)。医師。専門は、公衆衛生危機管理、バイオセキュリティ。新型コロナ・パンデミックでは、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議等に参加した。厚生労働省厚生科学課健康危機管理対策室で東日本大震災への対応等公衆衛生危機管理、結核感染症課で新型インフルエンザ対策等に従事。2021年より現職。2023年より、新型インフルエンザ等対策推進会議委員も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kitten
Go Extreme