内容説明
マルクス研究の第一人者による20世紀全史。世界大戦、ロシア革命から、新自由主義の登場まで、戦争、貧困・格差が駆動する現代資本主義世界を読み解き、「失われた時」を再考する歴史哲学!
目次
ロシア革命が第一次大戦終結を急がせた―ヴェルサイユ条約の罪
第一次世界大戦後の経済―金ぴかのアメリカと賠償にあえぐドイツ
アメリカの大恐慌―戦争が終わったクライシス・1920年代の栄光とその影
ソ連の発展―現実主義と理想主義の相克
ナショナリズムと国家の形成―大衆の向かう先
ファシズムの胎動―国家は道具か主体か
日本の独足―不戦条約と満州事変
科学の名のもとに―ユダヤ人虐殺と原子爆弾
社会主義の拡大と変質―一国社会主義の限界
二重性のアメリカ―1945~1960年
植民地の独立―政治の解放、経済の隷従
戦後のヨーロッパと日本―冷戦下の選択
ベトナム戦争と1960年代―民衆の、民衆による戦い
アメリカの時代の陰り―変動相場制と日本経済の伸長
新自由主義と社会主義世界の崩壊―アフガニスタン侵攻とレーガノミクス
著者等紹介
的場昭弘[マトバアキヒロ]
日本を代表するマルクス研究者、哲学者。マルクス学、社会思想史専攻。1952年、宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。マルクス学、社会思想史専攻。元神奈川大学経済学部教授(2023年定年退職)。同大で副学長、国際センター所長、図書館長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
35
世界大戦と革命の世紀にして西欧資本主義が頂点を極めた時代。20世紀の本質とは何か、歴史学・社会科学を超えて「資本主義の世紀=20世紀」を読み解く一冊。第一次世界大戦の終戦から1989年のベルリンの壁崩壊までを扱っていて、ヴェルサイユ条約と賠償に喘ぐドイツ、アメリカの大恐慌と、現実と理想に揺れたソヴィエトの発展、ナショナリズムとファシズム、第二次世界大戦とユダヤ人虐殺、社会主義の拡大、二重性の戦後アメリカや植民地の独立、ベトナム戦争とアメリカの陰りなど、ポイントを押さえた解説がとても分かりやすかったですね。2023/11/13
ta_chanko
18
マルクス研究者による1917〜89年の20世紀史。ロシア革命からソ連の成立、戦時共産主義からネップへ、世界革命の理想から一国社会主義の現実へ。アメリカは黄金の20年代(その影には人種差別や移民排斥も)から世界恐慌へ、そしてニューディール政策による統制経済へ。ドイツも敗戦後のハイパーインフレからファシズム(国家社会主義)へ。「大衆の反逆」や、国民国家の誕生とナショナリズムの発生も20世紀の現象。戦後は財政支出の削減と規制緩和・民営化をすすめる新自由主義が社会主義圏を切り崩し、ベルリンの壁崩壊と冷戦終結へ。2023/12/23
Oki
2
著者の「マルクスは謀議が好きで、つねに組織の中心に立ちたいという野心があった。」という評価が印象に残った。 2024/06/21