内容説明
「ブランド品を買わずにお金をかけるのは…」「どうしてエアコンよりこたつを選ぶ?」「新築より古民家の方がいいのはなぜ?」―。独自の統計調査やディープインタビューを通じて、かつてからは想像もつかない価値観を持つ、現代の若者の実像を徹底解剖する。
目次
第1章 車離れに見る若者たちの価値観
第2章 若年男子は酒よりスイーツへ
第3章 後退する「ハレの消費」と「巣ごもり」傾向
第4章 増えていくのは貯金だけ
第5章 恋愛市場の危機
第6章 縮小する性差―男前オンナvsオトメン
第7章 「平成成人」はクールな調整型
第8章 個の溶解と、浮上する共振型の喜び
第9章 近代からの離脱と伝統文化への回帰
終章 社会と経済の変化にどう対応するか
著者等紹介
山岡拓[ヤマオカタク]
日経産業地域研究所主任研究員。早稲田大学政治経済学部卒業。1986年日本経済新聞社入社。流通経済部、大阪経済部、福山支局長などを経て、2005年日経産業消費研究所(現・産業地域研究所)主任研究員。経済・社会構造、階層分化と消費者意識・家庭やコミュニケーションの構造変化などを研究。09年10月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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baboocon
21
「車を欲しがらず、酒は飲まない。物欲が乏しい。クリスマスでも恋人に宝飾品を贈らないらしい」のが最近の若者だそうです。僕も著者の定義した世代(本書執筆当時20代)ですが、現状車は要らないし酒も嗜む程度。大体当てはまってるかな?著者は若者のこうした消費性向が経済や社会の構造変化に伴った非可逆的な動きであるとし、上段に構えた批判的な視点ではなく中立的に冷静に分析している点で好感がもてた。2012/09/14
さなごん
19
周囲の若者たちを見てそうだなあと頷くところと本当は違うなあと思うところがあった。ふーん。て感じ2016/04/24
slowlifer
12
若者のモノ離れの要因は、既に物質的には満たされえおり、しかもバブル後の経済低迷期に育ったことが大きいのでは?巣ごもり派、着飾らない、消費しないという姿勢も、モノにこだわらない成熟社会の若者像としては好感が持てる。共感、人とのつながり、時間の共有など、「モノ」ではない「コト」に喜びを感じる昨今の風潮は、従来のGDPなどの経済指標では表せない豊かさの指標が必要という意味なのでは?ブータンのGNH?今後日本の人口は減少していくが、消費市場はその減少率以上に縮小していく気がする。2015/06/20
ダンボー1号
11
2009年の発行 今の若者はモノに囲まれ豊かで便利な環境で育った最後の消費世界の住人である。コスパ重視と言う言葉は軽い。物質より精神面、新しさより古さ・派手より侘び寂び・プレゼントは値段の高さよりより思いの深さ・海外旅行より身近な街の小さな発見。「ブラタモリ」が人気なのがしっくりくる。経済成長より脱原発が重視される時代は近いかも。経済を超えた日本は遂に欧米に追いつくかも。古い人の価値観と違い、て新しい価値感の時代が来たかも知れない。 2015/09/24
リョウ
6
自分自身がこの本の対象となる世代なだけに、漠然と思っていた感覚が分析されていて、なるほどと思った。世代ごとに大人になるまでに経験したことが異なることで、またその世代に共通に経験したことによって、価値観や考え方がこんなに左右されてしまうのかと思うと、結構意外だし、そりゃジェネレーションギャップが酷いわけだと思う。2012/11/13