内容説明
本書は、ミツカネ工業という架空の会社をモデルに、「資本コスト」についてわかりやすく解説しています。資本コストとは、マーケットが要求する理論的な努力目標。改訂版では、この資本コストの実績をはかる「ROIC(ロイック)」の解説を充実するとともに、海外案件での資本コストの考え方や株主総利回りについても言及しています。さらにM&Aが高値づかみになる理由、事業ポートフォリオの入れ替えができないのはなぜかなどについても解説しています。
目次
第1部 資本コストとは(稼ぐ目標としての資本コスト;設定した資本コストに対する実績把握)
第2部 M&Aと資本コスト(バリュエーションと資本コスト;プライシングと資本コスト)
第3部 外国人社外取締役からみた日本の資本コスト(外国人社外取締役を選任した株主総会;事業ポートフォリオの入れ替えに後向きな日本企業)
著者等紹介
岡俊子[オカトシコ]
株式会社岡&カンパニー代表取締役。青山学院大学大学院や明治大学大学院グローバルビジネス研究科(MBAコース)で教鞭をとるほか、上場企業の社外取締役を務める。経済産業省産業構造審議会委員。M&Aフォーラム理事。北陸先端科学技術大学院大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiroo Shimoda
4
良書。資本コストやROICのおさらいで読んだが、M&AのDDやシナジーへの辛辣な、しかしリアルな批判に引き込まれた。事業会社の経企・財務・IRライン向け。2023/09/28
sho
4
各章の前半が密度の薄い対話形式だったり、中央経済社の書籍特有のボリュームの割に強気な価格設定だったこともあり敬遠していたが、予想外に満足な内容だった。類書と比べて、この本を読んでも資本コストを算定できるようにはならないが、経営者やコーポレートの担当者の実務の目線で、資本コストが絡む場面における問題意識と基本的な概念は十分に掴むことができる。また、継続価値の実務面の対応やシナジーマネジメント、株価算定評価書など、類書で薄い部分がカバーされており、多少資本コストをかじった自分でも、目新しい内容が多かった。2021/02/02
まゆ
4
図解「資本コスト」というから、いつもの図解シリーズのような感じかと思いきや、これは面白い。 架空の会社の社外監査役3人が会話する形式で、資本コストやガバナンスなどの取り組みについて解説する。これを読むと一般的な日本の上場会社がいかにここら辺の資本に関するコーポレートファイナンスやガバナンスについて理解できていないかがわかって、自分の会社だけじゃないんだとホッとする。実務をよくわかっている人も、一度読む価値あり。2020/11/12
miohaha
4
お仕事本。難しい経営の基本知識を架空の会社の社外取締役の会話仕立てで読みやすく解説してくれます。2020/09/23
sab
2
財務諸表におけるデットの具体項目提示やデットと運転資本の類別、資本コスト・WACC・株主資本コスト・ハードルレートの峻別など、資本コストの概念の理解が深まった。資本コストだけでは内容が薄かったのか、後半ではM&AやDDの概要、シナジー効果の類型、ガバナンスコストの内容、100日プランの実施項目、製作保有持ち合いの解説など、これまた実務や検討で使える内容が適度な分量でまとまっている。ストーリー形式で薄味になる懸念は否めないが、本書では会話に実務家経験に裏打ちされた手触り感があり、私的には良かった2023/11/26